ヒト肝細胞で置換された肝臓を持つマウスの医薬品開発への利用-非拘束マウスの胆汁採取分析技術の確立-

文献情報

文献番号
200400885A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト肝細胞で置換された肝臓を持つマウスの医薬品開発への利用-非拘束マウスの胆汁採取分析技術の確立-
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
吉里 勝利(広島大学)
研究分担者(所属機関)
  • 堀江 透(㈱フェニックスバイオ)
  • 小林 英司(自治医科大学)
  • 絵野沢 伸(国立成育医療センター研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
13,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在の医薬品開発における動物実験ではヒトの薬物動態を予測することが難しい。我々が開発したヒト肝細胞キメラマウスは、マウス肝臓の80%以上がヒト肝細胞で置換され、そのヒト肝細胞は、薬物代謝に関わるヒト型酵素系をドナー肝細胞と同様のレベルで発現しており、ヒトにおける薬物の動態および安全性を予測するモデル動物になり得る。キメラマウスにおける医薬品候補化合物の胆汁排泄動態や胆汁中の代謝物を同定出来れば、ヒトにおける薬物動態をより正確に予測することが可能となる。本研究では、キメラマウスを用いた非拘束胆汁排泄試験モデルを開発する。
研究方法
ICRマウスを用いて胆汁回収手技を検討した。SCIDマウスに胆嚢カニュレーションを施し、更にラット用非拘束系装置を用いて継続的胆汁回収を行った。本事業で使用するキメラマウスの生産・供給を(株)フェニックスバイオに委託した。キメラマウスに胆嚢カニュレーションを施し、拘束状態で胆汁を回収した。キメラマウス、SCIDマウス、及びヒト胆汁の組成を、抗ヒトアルブミン抗体を用いたイムノブロットおよび高速液体クロマトグラフィーにより解析した。また、マウス用の小型非拘束装置の作製を行った。
結果と考察
マウス胆嚢へのカニュレーション手技を確立した。胆嚢カニュレーションを施したSCIDマウスをラット用の非拘束装置に接続し、2週間以上継続的に胆汁を回収した。また、拘束状態でキメラマウス胆汁を回収した。マウス用の小型の非拘束系装置の開発を行い、この装置を用いてSCIDマウスから継続的に胆汁を回収した。以上の技術開発研究によって、キメラマウスから非拘束的に継続して胆汁を回収するための基本技術を確立することができた。ICRマウス、SCIDマウス、キメラマウスから回収した胆汁、及びヒトの胆汁を解析した結果、キメラマウス胆汁中にはヒトアルブミンおよびグリココール酸が検出され、キメラマウスの胆汁組成はヒト型に近いことが示唆された。以上の結果から、本キメラマウスの試験系が、ヒト胆汁回収モデルとして利用可能であると推測された。
結論
キメラマウス胆汁排泄モデルの開発に必要不可欠な基本技術を確立した。また、今後必要となるキメラマウス胆汁の基礎的データーを収集した。

公開日・更新日

公開日
2005-05-24
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
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