ハイスループット・ヒト型遺伝毒性試験系の構築

文献情報

文献番号
200400884A
報告書区分
総括
研究課題名
ハイスループット・ヒト型遺伝毒性試験系の構築
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
能美 健彦(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 鎌滝 哲也(北海道大学大学院薬学研究科)
  • 林 宏行(明治製菓株式会社医薬開発部門動態安全性研究所)
  • 新倉 博文(中外製薬株式会社富士御殿場研究所安全性研究部)
  • 原 巧(食品薬品安全センター秦野研究所)
  • 金谷 一司(日本抗体研究所)
  • 小田 美光(大阪府立公衆衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品候補化合物の遺伝毒性、胎児毒性を迅速に同定・評価するハイ・スループット試験系を構築するため(1)ヒト遺伝子を導入した高感受性 in vitro 遺伝毒性試験系(2)in vitro 系で検出された物質のリスクを正当に評価するトランスジェニックラット、トランスジェニックマウス試験系の樹立を目的としている。
研究方法
umuテストの指標菌株にヒト・アセチル転移酵素NAT1、NAT2を発現させた。ヒトDNA polymerase κ(hDNA polκ)の発現プラスミドをサルモネラTA1538株に導入し、benzo[a]pyreneを用いてAmes試験を行った。gpt deltaマウス由来の細胞株gpt delta L1を用いて、cisplatinの変異を解析した。gpt deltaラットにphenacetinを長期投与し肝臓の変異を解析した。ヒト胎児P450分子種を発現するトランスジェニックマウスの胎仔を摘出し、thalidomide存在下で培養を行い奇形の有無を評価した。
結果と考察
ヒト・アセチル転移酵素NAT1高生産株が、芳香族アミン類のDNA損傷作用に高い感受性を示すことを明らかにした。またアセチル転移酵素を高発現するumuテスト株を用いて試験キットを作製した。umuテストや改良法フラクチュエーションAmes試験は、微量のサンプルを用いて遺伝毒性陰性となる化合物をスクリーニングするのに有用である。hDNA polκはサルモネラで発現したが、変異感受性の変化は観察されなかった。Cisplatinを用い、gpt delta L1細胞が、変異の誘発メカニズムの解析に有用であることを明らかにした。Phenacetinは非標的臓器である肝臓にも変異を誘発し、突然変異が発がんの必要条件ではあっても十分条件ではないことを示唆した。SD系gpt deltaラットのバックグランドをF344系へと変更した。Thalidomideにより誘発される奇形が、ヒト CYP3A7 を発現するトランスジェニックマウスで再現できた。
結論
創薬に有用な遺伝毒性試験系の構築を行った。迅速に遺伝毒性を検索する、ヒト遺伝子を発現するハイ・スループット微生物試験菌株を確立し、その評価を行った。発がん性を示す化合物の作用機構を明らかにするトランスジェニックラットおよびトランスジェニックマウス細胞試験系を樹立し、その有用性について検討した。催奇形性を検索するトランスジェニックマウス試験系を樹立した。

公開日・更新日

公開日
2005-04-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-