ウイルスRNA結合ペプチドを用いたC型肝炎治療薬の開発

文献情報

文献番号
200400879A
報告書区分
総括
研究課題名
ウイルスRNA結合ペプチドを用いたC型肝炎治療薬の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 哲朗(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 原田 和雄(株式会社 進化創薬)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HCVは慢性肝疾患の原因ウイルスである。現行の化学療法では半数以上のC型肝炎患者は治癒しない。HCVはゲノム5’UTR内に存在するIRESから翻訳が開始される。また、生成されたウイルス蛋白の持つRNAポリメラーゼ活性によって3'UTRから相補鎖RNAが合成される。すなわち、HCVの生活環において、ウイルスゲノムRNAの5'UTRと3'UTRは非常に重要な役割を果たしている。本研究では、HCVの複製に必須なウイルスRNA領域に対する、選択性の高い結合ペプチドを創製し、既存の薬とは異なる作用機序を持つC型肝炎治療薬としての開発を目指す。
研究方法
本研究グループが独自に開発したRNA 結合ペプチド検出系KANシステム(RNA 9: 252-261(2003))を用いてHCV RNA結合スクリーニングを行った。三段階のスクリーニングを経た陽性クローンのRNA特異性を個別にテストした。二種類のルシフェラーゼ遺伝子の間にHCV-IRES遺伝子を持つレポータープラスミドを直鎖化しRNA合成の鋳型とした。合成IRES-RNAとペプチドを種々の濃度で混合し翻訳反応を行った。2種類のルシフェラーゼ活性を連続的に定量した。
結果と考察
データベースに登録されている全HCV-IRES遺伝子について多変量解析を行い、IRES領域の中で各遺伝子型に特徴的な配列、すべての遺伝子型で保存されている領域を明らかにした。この情報を基にHCV-IRESレポータープラスミドを設計し結合ペプチドのスクリーニングを試みた。その結果、RNA-ペプチド相互作用アッセイにおいて活性を示す陽性クローンが多数同定された。各スクリーニングから得られたペプチド配列には類似性がないことから疑陽性でなく各ペプチドが実際に標的RNAと結合する可能性が示唆された。同定したIRES結合ペプチドについてHCV翻訳抑制の評価を開始した。現在、試験管内IRES活性測定系により合成ペプチド5種類の翻訳阻害作用を調べているが、これまでに1種類のペプチドで選択的なHCV IRES活性の抑制、すなわちIRES活性は抑制するもののCap-dependentの翻訳には影響を与えないことが観察された。
結論
独自に開発したRNA 結合ペプチド検出系KANシステムを用いてHCV-RNA結合ペプチドのスクリーニングを行い結合ペプチドをそれぞれ同定した。これらのペプチドについて試験管内IRES活性を指標としたHCV翻訳阻害作用の評価を開始した。これまでに1種類のペプチドで選択的なHCV-IRES活性の抑制作用が観察された。

公開日・更新日

公開日
2005-04-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-