エンドトキシン認識・刺激伝達機構の解明と医療への応用に関する研究

文献情報

文献番号
200400878A
報告書区分
総括
研究課題名
エンドトキシン認識・刺激伝達機構の解明と医療への応用に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
西島 正弘(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 川崎 清史(国立感染症研究所)
  • 熊沢 義雄(北里大学)
  • 小林 芳郎(東邦大学)
  • 明田川 純(生化学工業㈱)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では従来のリムルステスト法の問題点を補完する、新しいエンドトキシン検出法を作出するため免疫担当細胞によるエンドトキシン認識・刺激伝達機構の解明とそのエンドトキシン検出法への応用に関する研究を行う。
研究方法
1)リピドAの分析は質量分析計(MALDI-TOF MS)及び薄層クロマトグラフィーの分離により行う。2)糖脂質: GLA-60およびacyloxyacyl基を導入したMDP(岐阜大・木曽教授より分与)、スフィンゴ糖脂質GSL-1およびGSL-4A(関東学院大・川原教授より分与)、フラボノイド類を用いた。3) IL-6KOマウスは東京大・岩倉教授より供与。アポトーシス細胞はIL-2依存性細胞CTLL-2をIL-2非存在下培養して得た。
結果と考察
(1)修飾型リピドAは非修飾型と比べてTLR4-MD-2複合体に認識されにくくなることがわかった。(2)スフィンゴ糖脂質のGSL-1やGSL-4AはTLR4を介してマクロファージに作用し、TNF-aやIL-6などのサイトカイン産生を誘導した。しかし、その活性はリポ多糖と比べ約1/1000の活性だった。(3)未熟樹状細胞はアポトーシス細胞を貪食させると成熟化が抑制された。アポトーシス細胞を貪食した細胞からIL-6と程度は少ないもののIL-12p40とが産生された。IL-6は樹状細胞の分化を抑制した。アポトーシス細胞の貪食に伴って産生されるIL-6は樹状細胞を未熟な状態にとどめるのに部分的に関わることにより、自己抗原に対する応答を未然に防いでいると考えられた。
結論
(1)サルモネラ菌のリピドA修飾は、感染細菌にとって宿主Toll-like receptor 4による認識から逃れやすくなる点で細菌にとって有利に働く。(2)スフィンゴ糖脂質GSLはTLR4/MD2を介してマクロファージを活性化したが、リムルス活性をもたなかった。 フラボノイドは、LPS刺激を受けたマクロファージ細胞膜でのラフト集積を抑制し、シグナル伝達の下流も抑制した。フラボノイドの前投与により、エンドトキシンショックが抑制された。(3)アポトーシス細胞の貪食に伴って産生されるIL-6は樹状細胞を未熟な状態にとどめるのに部分的に関わることにより、自己抗原に対する応答を未然に防いでいると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2005-06-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-