ヒト・マウス炎症細胞におけるオルトログ遺伝子発現相関データベース作成に関する研究

文献情報

文献番号
200400877A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト・マウス炎症細胞におけるオルトログ遺伝子発現相関データベース作成に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
斎藤 博久(国立成育医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 岡山 吉道(理研横浜研究所免疫アレルギー科学総合研究センター)
  • 青島 健(三井情報開発株式会社バイオサイエンス本部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
1,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
遺伝性疾患の原因遺伝子の特定にマウスなどのモデル動物は非常に有用である。しかしながら、アレルギーなどの多因子疾患に関しては、マウスなどのモデル動物を用いた研究成果とヒト疾患治療応用成果が一致しないことがある。ゲノム科学の発展によりヒトのみならず、マウスの全ゲノムの解読が終了し、マウスとヒトの構造類似(オルトログ)遺伝子の情報が整理されつつある。本研究においては、マイクロアレイ(GeneChip)技術、データベース情報をもちい、アレルギーなどの炎症に関与するヒトとマウスの各種白血球の刺激前後、薬剤負荷前後における全遺伝子発現定量を行い、オルトログ遺伝子発現比較データベースのみならず関連分子の反応経路の比較データベースを作成することを達成目標としている。
研究方法
ヒトとマウスのマスト細胞を高親和性IgE受容体(FcεRI)を介した刺激し、網羅的遺伝子発現解析を行い、さらにオルソログ遺伝子発現相関データベースにより包括的な遺伝子発現を比較解析した。
結果と考察
ヒトおよびマウスのマスト細胞をIgEで感作後、抗IgE抗体あるいは抗原で刺激し、遺伝子発現の変動を網羅的に検討した。その結果、IgE受容体を介した刺激により発現増加した遺伝子を調べたところ、いずれのマスト細胞においても23,000種類の遺伝子の中で、CCL1 (I-309), CCL2 (MCP-1)およびCCL4 (MIP-1β)のCCケモカインの遺伝子発現が上位10種類の中に存在していることを見いだした。一方、ヒトのマスト細胞で高発現しているPRG2 (major basic protein)はマウスのマスト細胞では全く認められなかった。マウスのマスト細胞にのみ高度に発現している分子の機能に関する研究は、ヒトにおける潜在的な機能に関して、慎重に解釈されなければならない。
結論
全ゲノムの発現に関する種間比較試験は、ヒトの病原の動物モデルから得られた実験データを解釈する際に有用である。

公開日・更新日

公開日
2005-05-24
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-