創薬への応用を目標としたB細胞の分化・増殖・細胞死の制御機構解明に関する研究

文献情報

文献番号
200400876A
報告書区分
総括
研究課題名
創薬への応用を目標としたB細胞の分化・増殖・細胞死の制御機構解明に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
上出 利光(北海道大学)
研究分担者(所属機関)
  • 宮崎 忠昭(北海道大学 遺伝子病制御研究所)
  • 清河 信敬(国立成育医療センター研究所)
  • 洲鎌 和茂((株)プライミューン)
  • 設楽 研也(協和発酵工業(株) 東京研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
10,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
B細胞に対する選択的な新規増殖制御法を開発することによって、自己免疫疾患やB細胞性腫瘍に対する新規治療法開発へと導く。
(1)B細胞の分化と生存に重要なサイトカインBAFFとその受容体であるBAFF-Rの下流のシグナルを明らかにする。
(2)B細胞でクローン排除の刺激伝達に関与することが明らかになっているラフトの刺激伝達機構を解析する。
研究方法
(1)BAFF-Rと会合する分子のスクリーニングは酵母two-hybrid法により行った。IL-10の産生はELISA法により、NF-κBの活性化はレポータージーンアッセイにより解析を行った。
(2)種々のPre-B前駆細胞株においてラフト刺激伝達系の下流に位置するBLNKの発現を検討した。また、同細胞株を抗μ鎖抗体で刺激し、細胞内蛋白のチロシンリン酸化、細胞質内Ca++濃度の変化について検討した。
結果と考察
(1)酵母two-hybridにより得られた陽性クローン、DMWDはBAFF-Rと会合する事が示された。また、DMWDはBAFF-RによるIL-10産生の抑制に機能することが明らかとなった。抗体アレイを用いた解析によりDMWDはPyk2と会合する事が示され、Pyk2の自己リン酸化を亢進し活性化に働くこと、NF-κBおよびJNK活性化経路に関与することを示した。
(2)BLNKは、ラフト刺激伝達系の下流に位置すると想定されている。pre-BCRを発現するpre-B ALL株のうち、抗μ鎖抗体によるpre-BCR架橋刺激により、PLC-γ2および細胞質内Ca++の濃度の上昇はBLNK発現株のみで認められた。
DMWDがBAFFRに会合し、BAFF刺激によってPyk2の活性化を誘導する。その後、Pyk2の下流のNF-κBが活性化され、IL-10の産生を誘導することが示唆された。一方、BLNKがpre-BCR刺激伝達系においてPLC-γ2を介するCa++の濃度の上昇に重要な役割を担っていることが示唆され、現在ラフト構成分子との相互関係について検討中である。
結論
DMWDはBAFF-RによるNF-κBの活性化およびIL-10の産生に関与が認められ、そのシグナル伝達機構としてPyk2との会合と活性化が考えられた。ラフト刺激によって発現が誘導される遺伝子群の候補を特定するとともに、刺激伝達関連分子BLNKの機能の一端を明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2005-05-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-