文献情報
文献番号
200400874A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性ストレス負荷によるうつ病様病態の発症分子機構の解明と創薬
研究課題名(英字)
-
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
田平 武(国立長寿医療センター研究所)
研究分担者(所属機関)
- 溝口和臣(株式会社ツムラ研究本部医薬評価研究所)
- 高 昌星(信州大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
慢性ストレス負荷によるうつ病様病態の発生機構を分子レベルで解明し、創薬につなげる。
柴胡加竜骨牡蛎湯(TJ-12)の作用機序を明らかにし、ストレスによる自己免疫増悪機序を明らかにする。
柴胡加竜骨牡蛎湯(TJ-12)の作用機序を明らかにし、ストレスによる自己免疫増悪機序を明らかにする。
研究方法
1. Wistarラットに水浸拘束ストレスを4週間負荷し前頭前野と海馬よりtotal RNA及び蛋白質を抽出し、DNAチップ解析、プロテオーム解析を行う。
2.SJL/Jマウス脳内にタイラーウイルス(TTMEV)を接種し、ウイルス接種後30日?40日まで拘束ストレスを毎日12時間負荷した後、血中サイトカインをELISA法で測定する。
(倫理面への配慮)
動物実験は各研究施設の動物実験倫理委員会の承認を得て行った。
2.SJL/Jマウス脳内にタイラーウイルス(TTMEV)を接種し、ウイルス接種後30日?40日まで拘束ストレスを毎日12時間負荷した後、血中サイトカインをELISA法で測定する。
(倫理面への配慮)
動物実験は各研究施設の動物実験倫理委員会の承認を得て行った。
結果と考察
1.最終的に絞り込まれた遺伝子は、前頭前野に関して、増加遺伝子では、機能既知が27個、機能未知が68個、減少遺伝子では、機能既知が66個、機能未知が177個であった。海馬に関して、増加遺伝子では、機能既知が55個、機能未知が156個、減少遺伝子では、機能既知が89個、機能未知が268個であった。興味深いことに、絞り込まれた遺伝子の中で、前頭前野において発現が増加していた遺伝子の中に、セロトニンtype-2受容体が含まれていた。
2.プロテオーム解析では今年度は予備実験を行い、前処理法、二次元電気泳動銀染色標本のTOF-MS解析法を確立した。また、ナノLC-MS/MS解析により1回の解析で10,000種以上の蛋白質が同定可能となった。
3.炎症性サイトカインであるTh1系のサイトカインtumor necsosis factor (TNF)-α、interferon (IFN)-γ 及びinterleukin (IL)-4は拘束性ストレス群では対照群に比し増加傾向を示した。一方Th2系サイトカインであるIL-10は拘束性ストレス群では低下傾向を示した。以上より拘束性ストレスはTh1系サイトカインを増強し、Th2系サイトカインを抑制し、TMEV-IDDを増悪させる可能性が示唆された。
2.プロテオーム解析では今年度は予備実験を行い、前処理法、二次元電気泳動銀染色標本のTOF-MS解析法を確立した。また、ナノLC-MS/MS解析により1回の解析で10,000種以上の蛋白質が同定可能となった。
3.炎症性サイトカインであるTh1系のサイトカインtumor necsosis factor (TNF)-α、interferon (IFN)-γ 及びinterleukin (IL)-4は拘束性ストレス群では対照群に比し増加傾向を示した。一方Th2系サイトカインであるIL-10は拘束性ストレス群では低下傾向を示した。以上より拘束性ストレスはTh1系サイトカインを増強し、Th2系サイトカインを抑制し、TMEV-IDDを増悪させる可能性が示唆された。
結論
1.慢性ストレス負荷ラットの前頭前野あるいは海馬における遺伝子発現をDNAチップを用いて網羅的に解析した。両部位で発現が変化していた遺伝子の中からこれまでの知見をもとに関連が疑われる遺伝子数百を絞り込んだ。
2.プロテオーム解析の方法を確立した。
3.ストレスはタイラーウイルス脳炎モデルにおいても免疫系をTh1優位に偏奇させることが分かった。
2.プロテオーム解析の方法を確立した。
3.ストレスはタイラーウイルス脳炎モデルにおいても免疫系をTh1優位に偏奇させることが分かった。
公開日・更新日
公開日
2005-06-01
更新日
-