過食の病態関連因子の解明と抗過食薬の創薬探索に関する研究

文献情報

文献番号
200400873A
報告書区分
総括
研究課題名
過食の病態関連因子の解明と抗過食薬の創薬探索に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
野々垣 勝則(東北大学 大学院医学系研究科COE 分子代謝病態学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 平岡秀一(明治製菓株式会社学術部CNSグループ)
  • 久保木富房(東京大学 大学院医学系研究科 ストレス防御心身医学)
  • 大賀英史(独立行政法人国立健康・栄養研究所 産学共同研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)の食欲抑制機序の解明と抗過食薬の創薬に役立つ標的遺伝子の探索を本研究目的とする。
研究方法
a)C57BL6J雄性マウス(5週齢)を用いて23時間絶食後に選択的セロトニン5-HT2C受容体選択的拮抗薬(SB242084;以下SBと略す)(1 mg/kg)または生食水を腹腔内前投与した30分後に生食水またはフルボキサミン(3-30 mg/kg)を腹腔内投与し30分後から餌を与え1時間ごとの摂食量を測定した。

b)前記a)同様にC57BL6Jマウスに薬物投与後、餌を与えず絶食のままで1時間後に断頭し、リアルタイムRT-PCRで視床下部のPOMCとNPYの遺伝子発現を定量した。

c)脳内MC4受容体と3受容体のシグナル伝達系に遺伝的障害を有するAy/a雄性マウス(5週)を用いてa)と同様の薬物投与をした。

d) 摂食関連因子であるNPY、POMC、MC4受容体、α-MSH、AGRPについて、抗体による免疫染色実験系の検討および構築を行った。
結果と考察
a) フルボキサミン単独投与群、SB投与群は生食水投与群と摂食量に差は認められなかった。SB前投与後に、フルボキサミンを投与すると3-30mg/kgのいずれの用量でも同様に摂食抑制効果が発揮された。これらの結果から、フルボキミンが食欲を抑制する効果の発現には、5-HT2C受容体のシグナル伝達障害が必要であることが示唆された。

b) SB+フルボキサミン群は生食群に比べ視床下部でPOMC1の遺伝子発現が2倍に増加していたがNPY有意な差を認めなかった。SB前処理によるフルボキサミンの摂食抑制は視床下部のPOMCニューロンが活性化を伴うことが示唆された。

c)SBを前投与後、フルボキサミンを投与する際に見られる摂食抑制は、Ay/aマウスでは消失したことから、その摂食抑制効果はMC4受容体とMC3受容体を介していることが示唆された。


d) 今回使用した抗体では、NPY以外には、抗体特異的な染色像は得られなかった。
結論
フルボキサミン自体は食欲抑制効果がないが、セロトニン5-HT2C受容体の不活化下で、食欲抑制効果を発揮する。その食欲抑制効果は脳内メラノコルチン系を介することが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2005-06-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
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