細胞内エネルギー代謝制御分子の機能発現機構の解明と新規治療薬への応用

文献情報

文献番号
200400872A
報告書区分
総括
研究課題名
細胞内エネルギー代謝制御分子の機能発現機構の解明と新規治療薬への応用
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
江崎 治(独立行政法人国立健康・栄養研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 後藤 正英(山之内製薬株式会社)
  • 服部 浩明(株式会社ビー・エム・エル)
  • 矢野 崇(持田製薬株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
12,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
糖尿病発症予防のため、運動で増加するPGC-1α過剰発現マウスを作製し、ミトコンドリアの機能及びエネルギー代謝について研究を行った。PGC-1α発現制御領域の同定・絞込みを試みた。筋萎縮に於けるFOXO1の役割を理解するため、骨格筋、FOXO1、トランスジェニックマウスを作成した。細胞の肥大化のマーカー同定を目指した。魚の摂取はVLDL分泌を減少させ、抗肥満作用を示す。VLDL合成に関与する肝でのDGATsの機能を調べた。
研究方法
1)骨格筋の組織化学的検討,Gene Chip解析。
2)高脂肪食負荷実験。
3)PGC-1α遺伝子上流領域の解析。
4)FOXO1トランスジェニックマウスの作製。
5)高脂肪食摂取後のMest発現量測定。脂肪細胞Mest過剰発現トランスジェニックマウスの作製。
6)DGAT1、DGAT2を肝臓特異的に発現マウスのフェノタイプの分析。
結果と考察
1) PGC-1αマウス骨格筋ではミトコンドリア量の著明な増加を認めた。糖代謝系酵素の遺伝子発現量は低下していたのに対しβ酸化系酵素の遺伝子発現量は増加した。
2)高脂肪食による体脂肪量の減少が認められた。25週齢では筋線維の著しい萎縮と脂肪組織の浸潤を認めた。
3) 上流0.2-5.2kb領域を含むhPGC-1αプロモーターレポーター発現量はレチノイン酸処理により2.5倍に増加した。
4) FOXO1マウス骨格筋ではタイプI繊維の数が減少し、蛋白分解が活発になり、筋アトロフィーを生じた。
5) 高脂肪食脂肪細胞Mest発現量が増加した。Mestトランスジェニックマウスでは脂肪細胞肥大化が認められた。
6) DGAT1過剰発現マウスではVLDLの増加が認められた。
結論
1) 運動によるミトコンドリア数の増加は、PGC-1αの増加を介する。
2) PGC-1α過剰発現マウスは、ミトコンドリア量が増加してエネルギー代謝が亢進したがミトコンドリア・ミオパチーを生じる。
3) PGC-1α発現調節に重要なプロモーター領域約100bを明らかにした。
4) FOXO1が、筋アトロフィーに関与する。
5)脂肪細胞のサイズを簡便に把握する蛋白Mestを見い出した。
6) DGAT1がVLDL分泌に関与する。

公開日・更新日

公開日
2005-04-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-