受精および初期胚発生における糖鎖の役割解析とその応用に関する研究

文献情報

文献番号
200400871A
報告書区分
総括
研究課題名
受精および初期胚発生における糖鎖の役割解析とその応用に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
藤本 純一郎(国立成育医療センター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 北島 健(名古屋大学生物機能開発利用研究センター)
  • 木全 弘治(愛知医科大学 分子医科学研究所)
  • 宮戸 健二(国立成育医療センター研究所)
  • 安江 博(独立行政法人農業生物資源研究所)
  • 前田 浩(生化学工業株式会社中央研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
受精、初期胚発生ならびに器官形成過程における細胞表面糖鎖ならびにその関連分子が果たす役割を解析し、受精不全(不妊症)や不育症などの障害克服、幹細胞を用いた再生医療に応用可能な基盤情報を整備することを目的とする。
研究方法
SSEA-4エピトープ解析にはRaft.2抗体を用いた。精子上の硫酸化シアル酸の解析は、ウニ精子に存在する硫酸化シアル酸をもつa-2,9-結合ポリシアル酸に対する抗体を作成して行った。複合糖鎖の機能解析は、不妊雌マウスの卵巣の組織学的解析を中心とした。受精膜融合でのCD9の機能解析は変異型CD9cDNA導入等によった。精巣での発現遺伝子解析効率化はモデル遺伝子での条件設定によった。
結果と考察
マウスF9細胞、ヒトEC細胞株NCR-G3ではともにsialylGb5(SSEA4)が糖蛋白上に存在していた。ウニ精子での硫酸化シアル酸をもつ新規シアル酸重合体を発見し抗体を作成したが、これはブタ精子由来ラフトとも反応し、ブタ精子でも硫酸化シアル酸含有糖蛋白質を発見した。卵丘組織細胞外基質の機能解析のため排卵直後のSHAP-HA複合体欠損の卵丘組織での卵丘器質成分分布を調べた。卵丘細胞の表面にはそれらが存在したが、細胞間には存在せず、高次構造体の細胞間相互作用におけるSHAP-HA複合体の中心的な役割が明確となった。SHAP-HA複合体のELISA定量測定法を改良し、不妊症患者24名の血清を測定したが異常は見つからなかった。受精膜融合ではCD9のC末端が膜融合に重要であることが判明した。可視化CD9発現卵の観察等の結果、CD9は微絨毛に存在し、受精過程に伴って精子結合部位へ集積すること、精子融合後は拡散することが判明した。未受精卵でCD9と共役いくつかの蛋白が候補として挙がった。ブタプロタミン遺伝子をモデルとし、組織固定用還流液と固定液の検討、ハイブリ用プローブの選定、反応時間設定ならびに組織貼付用基材の選択などを行った。
結論
初期胚マーカーSSEA-4エピトープがマウスおよびヒトEC細胞では糖脂質のみならず糖蛋白としても存在することを明らかにした。
哺乳類の精子上に硫酸化シアル酸をもつ新規シアル酸重合体が存在することを世界で初めて明らかにした。
受精膜融合ではCD9のC末端が重要であることを明らかにし、また、CD9と共役する複数分子を同定した。
不妊症の原因解明につながる複合糖質機能解析ELISAを開発した。

公開日・更新日

公開日
2005-06-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-