文献情報
文献番号
200400868A
報告書区分
総括
研究課題名
血管におけるレクチンを介する生体防御システムの解明と創薬への応用
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
若宮 伸隆(旭川医科大学)
研究分担者(所属機関)
- 本多 三男(国立感染症研究所 エイズ第一グループ)
- 岸 雄一郎(扶桑薬品工業株式会社 研究開発センター)
- 堤 明人(筑波大学大学院 人間総合科学研究科)
- 板部 洋之(昭和大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
20,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
血管は現代の高齢化社会において大きな問題となっている虚血性心疾患、脳血管障害、糖尿病などの生活習慣病において最も重要な臓器である。本研究の目的は、血管におけるコレクチンの生体防御に対する役割を解明し、創薬への基礎的知見を得ることである。
研究方法
MBL研究
1.MBL高発現株の新規作成とそのシステム構築 2.動物実験でのMBL monitoringシステム構築 3.HIVの in vitro MBL感染阻止実験 4.SLE患者のMBL遺伝子解析と自己抗体検出.CL-P1の細胞レベルの動態解析
CL-P1研究
1.細胞レベルのCL-P1の動態解析 2.貪食時のCL-P1細胞内領域と関連蛋白質の複合体形成の解析 3.ヒト組織のCL-P1発現解析 4.個体レベルでのCL-P1発現意義の解析 5.細胞株のCL-P1のSNPs解析 6.酸化度の異なるOxLDLのCL-P1に対する結合性の解析 7.マウスOxLDL測定系の構築
1.MBL高発現株の新規作成とそのシステム構築 2.動物実験でのMBL monitoringシステム構築 3.HIVの in vitro MBL感染阻止実験 4.SLE患者のMBL遺伝子解析と自己抗体検出.CL-P1の細胞レベルの動態解析
CL-P1研究
1.細胞レベルのCL-P1の動態解析 2.貪食時のCL-P1細胞内領域と関連蛋白質の複合体形成の解析 3.ヒト組織のCL-P1発現解析 4.個体レベルでのCL-P1発現意義の解析 5.細胞株のCL-P1のSNPs解析 6.酸化度の異なるOxLDLのCL-P1に対する結合性の解析 7.マウスOxLDL測定系の構築
結果と考察
MBL研究では、若宮、本多、岸らで、動物での抗HIV効果を検討する目的で、新規MBL発現細胞株の樹立や、動物血清中ヒトMBL濃度測定システムの開発を行うなどの基盤研究が順調に進められた。
CL-P1研究では、細胞レベルでCL-P1分子が誘導型スカベンジャー受容体の性格を有すること、ヒト組織でCL-P1発現が確認されるなどの基盤研究が進展した。またゼブラフィッシュ血管でCL-P1発現を証明し、魚類でのスカベンジャー受容体を初めて同定した。さらにゼブラフィッシュCL-P1に対するRNAi実験による形態形成不全を認め、予備実験であるが、スカベンジャー受容体やコレクチンが、生体の初期形態形成に関わるとする驚くべき結果が得られている。一方、板部と共同で、酸化レベルの異なる数種のOxLDLが、各々別々のスカベンジャー受容体に結合することを明らかした。板部は、マウスからOxLDL を作成し特異抗体を得て、マウスOxLDL測定系を樹立した。堤は、MBL欠損症にSLEが優位にリンクしていること、MBL欠損のあるSLE患者は、入院を要する感染症を併発する頻度が高いことを見出した。このことは小児だけでなく成人においても、基礎疾患のある集団では、MBL測定の必要性のあることを示唆している。
CL-P1研究では、細胞レベルでCL-P1分子が誘導型スカベンジャー受容体の性格を有すること、ヒト組織でCL-P1発現が確認されるなどの基盤研究が進展した。またゼブラフィッシュ血管でCL-P1発現を証明し、魚類でのスカベンジャー受容体を初めて同定した。さらにゼブラフィッシュCL-P1に対するRNAi実験による形態形成不全を認め、予備実験であるが、スカベンジャー受容体やコレクチンが、生体の初期形態形成に関わるとする驚くべき結果が得られている。一方、板部と共同で、酸化レベルの異なる数種のOxLDLが、各々別々のスカベンジャー受容体に結合することを明らかした。板部は、マウスからOxLDL を作成し特異抗体を得て、マウスOxLDL測定系を樹立した。堤は、MBL欠損症にSLEが優位にリンクしていること、MBL欠損のあるSLE患者は、入院を要する感染症を併発する頻度が高いことを見出した。このことは小児だけでなく成人においても、基礎疾患のある集団では、MBL測定の必要性のあることを示唆している。
結論
総括としては、MBL、CL-P1ともに、動物モデルやヒトでの個体レベルの研究成果が出つつあり、着実に進展した初年度であった。
公開日・更新日
公開日
2005-04-19
更新日
-