文献情報
文献番号
200400867A
報告書区分
総括
研究課題名
繊維芽細胞の放出するmacrophage活性化因子とJAG1蛋白の関連と臓器繊維化の機序解明
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
香坂 隆夫(国立成育医療センター)
研究分担者(所属機関)
- 多々納 俊雄(株式会社 ユーエムエー)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
繊維化を主体とする病変、末期臓器不全、特に肝硬変や腎硬化症の進展機序に関与する因子について臨床基礎の両面からの解明し、この増悪を阻止することにより、慢性患者の治療法に役立つことを目的とする。
研究方法
ACHN、Hucct1、Huh7、KMST細胞、3T3細胞は東北大学加齢研究所より譲渡されたものを使用した。これらの細胞へのJAG1、JAG2遺伝子導入、MTT法、ELISA法、ルシフェラーゼアッセイ、NF‐κB の gel shift assayは、すでに発表に準じた方法で行った。JAG蛋白はC末端にFlag-tagをつけたものを作成し、その効果はantiFlagIgGを固定する方法や、3T3の上清を添加する方法で検討した。
結果と考察
線維化との関連が強い肝繊維症、肝硬変、劇症肝炎、アラジール症候群や胆道閉鎖症においてJAG1 遺伝子の変異との関連について検討し、JAG1 遺伝子の変異や欠損が、重篤例や繊維化進行例に多いことを見出し、慢性疾患におけるJAG1 遺伝子の重要性を示唆する結果を得た。 NF-κBの細胞情報伝達系と Notch-JAG1pathway との関連を検討し、TNFαの刺激による肝細胞株(Huh-7)のIL-8, IL-6 産生系では、IL-8 産生にJAG1遺伝子、蛋白が抑制的に働いていることを見出した。この機序はNotch-JAG1 pathway が、NF-κB 系を介して調節因子として働いているためであると考えられた。
その基礎医学的検討では、繊維細胞の産生物が、末梢単球及び単球樹立株に働きCD11b の発現、分化させ、IL-8 の産生を増大させることを見出した。この繊維芽細胞より放出される macrophage 活性化因子は、JAG1 遺伝子導入により消失する。
その基礎医学的検討では、繊維細胞の産生物が、末梢単球及び単球樹立株に働きCD11b の発現、分化させ、IL-8 の産生を増大させることを見出した。この繊維芽細胞より放出される macrophage 活性化因子は、JAG1 遺伝子導入により消失する。
結論
臨床的結果では、JAG1 遺伝子異常は新生児発症の肝炎、胆汁鬱滞症にも認められ、特に予後不良例に多かった。、JAG1 遺伝子およびその蛋白は、TNFαの刺激による IL-8, IL-6 の産生を抑制しており、繊維細胞樹立株は THP-1の増殖および分化を誘導する蛋白を放出しているが、JAG1 遺伝子導入により抑制された。これらの結果は臓器の増悪化を防止し臓器不全に対する治療法の開発に役立つと期待できる。
公開日・更新日
公開日
2005-06-28
更新日
-