脂質代謝・機能の解明とその抗微生物薬開発への応用

文献情報

文献番号
200400866A
報告書区分
総括
研究課題名
脂質代謝・機能の解明とその抗微生物薬開発への応用
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
花田 賢太郎(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 西島 正弘(国立感染症研究所)
  • 斎藤 恭子(国立感染症研究所)
  • 久下 理(九州大学大学院 理学研究院)
  • 星子 繁(明治製菓 創薬研究部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
膜脂質の生合成と機能発現機構に関する研究を通じて、病原微生物感染成立における宿主膜脂質の役割を解明する。また、微生物の脂質代謝を特異的に阻害する物質を探索して、新規抗微生物薬開発のためのシード化合物を得る。
研究方法
イノシトールホスホセラミド合成酵素(IPCS)阻害剤の半自動探索のためには、Candida albicansミクロソーム膜画分を酵素源、放射性短鎖セラミドを基質とした酵素反応を96穴プレート内で行なった後、反応液を自動分注器を用いて薄層クロマトグラフィー(TLC)板上にスポットし、さらに同スポット上に溶媒を分注して展開した。IPCSとスフィンゴミエリン合成酵素(SMS)の同時検出は、ヒト由来SMS1もしくはSMS2を発現した出芽酵母抽出液に蛍光標識セラミド類似体を添加して行った。CERTが触媒する膜間転移反応解析は、人工膜を用いた無細胞反応系で行った。リン脂質輸送に欠損のある酵母変異株を分離するための材料として、ホスファチジルセリン脱炭酸酵素に欠損のある出芽酵母を親株として、レプリカ法で温度感受性変異株群を選択した。
結果と考察
イノシトールホスホセラミド(IPC)関連脂質は、真菌類などには存在するが哺乳動物細胞には存在しない脂質群であり、IPCSは真菌の生育に必須の遺伝子産物である。放射性短鎖セラミドを基質にした条件でIPCS反応を行った後、未反応基質および反応生成物をTLC板上で同心円状に展開する工夫をし、IPCS阻害物質の半自動化探索を可能にした。さらに、IPCSとSMSの活性を同時に検出できる系を構築した。一方、増殖が温度感受性の出芽酵母変異株のコレクションの脂質代謝標識解析から、リン脂質輸送経路に損傷を有することが期待される変異株を複数取得した。また、哺乳動物細胞におけるセラミド選別輸送を担う蛋白質CERTは、セラミドおよびそれの類似体を選択的に認識し、その結合比は1対1であることを明らかにした。
結論
真菌IPCSを標的とした新規抗真菌剤探索のために、比較的多量な検体を探索できる実験系を開発した。さらに、IPCSとSMSの同時検出系を構築し、IPCS阻害剤候補の特異性評価に応用した。一方、細胞内リン脂質輸送に損傷を有する酵母変異株の候補を複数分離した。また、CERTは、セラミドおよびそれの類似体を選択的に認識して膜間転移を促進することを明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2005-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
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