蛋白立体構造異常を原因とするコンフォメーション病に対する病態解明と創薬探索システムの確立

文献情報

文献番号
200400864A
報告書区分
総括
研究課題名
蛋白立体構造異常を原因とするコンフォメーション病に対する病態解明と創薬探索システムの確立
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
桃井 隆(国立精神・神経センター神経研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 礒合 敦(旭硝子株式会社 中央研究所)
  • 上田 正次(株式会社ワイエス研究所)
  • 日比野 利彦(資生堂ライフサイエンス研究所)
  • 今泉 和則(宮崎大学医学部 解剖学第一講座)
  • 南 康文(東京大学大学院理学系研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
15,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究はコンフォメーション病の原因である立体構造異常蛋白が示す蛋白分解酵素に対する抵抗性の仕組みを解析し、こうした異常蛋白の蓄積凝集が誘導するコンフォメーション病の病態の解明、および酵母、細胞、マウスの病態モデルを作製し、創薬探索システムを確立し、異常蛋白分解を促進する化合物の探索を目的としている。本研究はコンフォメーション病の治療や予防システムの確立において必要であると考える。
研究方法
1)小胞体品質管理機構を司る新規分子の探索と解析
2)蛋白凝集などの分解に関与するオートファジーの活性化に焦点をあて、異常蛋白の分解を促進する化合物の探
  索を行なう。
3) ヒト変異遺伝子を導入した(ノックイン)疾患モデルマウスの作製をRed/ET方
  法を用いて行う。
結果と考察
1)伸長ポリグルタミンをTet-On/Offのベクター、変異ケラチン遺伝子を酵母、細胞で発現させ、ポリグルタミ
ン病、表皮水疱症などのコンフォメーション病モデルを確立した。
2)異常蛋白に対するシャペロンと分解系と蓄積の分子機構について解析し、新規小胞体ストレスセンサー蛋白
(OASIS)を同定するとともに、プロテアゾームの活性化因子が分子シャペロンとして蛋白発現を調節して
いることが明らかになった。
3)異常蛋白凝集が誘導するERストレスにより発現増大する遺伝子を酵母、細胞のマイクロアレイを用いて解析
し、ポリグルタミン(72リピート)の凝集は細胞(または酵母)のオートファジー形成に関与するLC3(Atg8)
とLC3-IからLC3-IIの変換に関与するAtg12遺伝子の発現を転写レベルで制御していることが明らかに
なった。
4)疾患原因遺伝子であるヒト変異遺伝子を導入した(ノックイン)疾患モデルマウスの作製を開始した。
新規分子ストレスセンサー、分子シャペロンの発見により、これらを標的とする化合物の開発が可能となっ
た。また、異常蛋白凝集によるオートファジー形成遺伝子発現誘導の分子機構およびERAD凝集分解促進との
関係について検討することが必要である。
結論
1)小胞体におけるERAD, ストレスセンサーに関与する神経分子を同定することができた。
2)異常蛋白凝集による小胞体ストレスによりオートファジー形成遺伝子の転写が促進された。
3)酵母、細胞系を確立することができ、異常蛋白分解を促進する化合物を探索するこたが可能となり、また
Tg(ノックイン)マウスの作製準備をはじめた。

公開日・更新日

公開日
2005-06-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-