遺伝子改変動物を用いた病態関連因子の解明と創薬への応用に関する研究

文献情報

文献番号
200400862A
報告書区分
総括
研究課題名
遺伝子改変動物を用いた病態関連因子の解明と創薬への応用に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
田上 昭人(国立成育医療センター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 北村 唯一(東京大学医学部)
  • 竹尾 聡(東京薬科大学)
  • 高野 行夫(福岡大学薬学部)
  • 藤原 道弘(福岡大学薬学部)
  • 小堀 正人(山之内製薬株式会社分子医学研究所)
  • 小嶋 正三(キッセイ薬品工業株式会社中央研究所)
  • 広田 直美(日本オルガノン株式会社研究開発管理室)
  • 生垣 一郎(旭化成ファーマライフサイエンス総合研究所)
  • 森 豊樹(大塚製薬株式会社薬効開拓研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
28,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
G蛋白質共役型受容体(a1アドレナリン受容体、バゾプレッシン受容体)の遺伝子改変動物と疾患動物モデルを作出し、生体内での生理、病態機能の評価と受容体特異的薬物の薬効評価を行う。
研究方法
a1アドレナリン受容体およびバソプレッシン受容体ノックアウトマウスを作成し解析を行う。さらに病態モデルを作製し、受容体特異的薬物の薬物効果・副作用について解析を行う。
結果と考察
a1アドレナリン受容体について各サブタイプ欠損マウスおよび二重欠損マウスの作成に成功した。作成したマウスを用いて各サブタイプの機能を解析したところ、大動脈の血管収縮にはa1Dサブタイプが、腸管膜動脈ではa1Aおよびa1Dサブタイプが関与し、血圧維持ならびに高血圧の発症には、a1Dサブタイプが中心的な働きをしていることが明かとなった。又、a1Dノックアウトマウスでは学習記憶が障害されていることが明かとなった。この結果より、a1D選択的拮抗薬は、非選択的a1拮抗薬より降圧薬としては特異性が高いと考えられるが、中枢神経機能などに影響を及ぼす可能性が示唆された。また、a1Dノックアウトでは、排尿間隔が延長し、膀胱刺激による排尿反射の低下が見られた。この結果より、a1D選択的拮抗薬は前立腺肥大症における膀胱刺激症状の改善に有効と考えられた。バゾプレッシン受容体変異マウスについて各サブタイプ欠損マウス及びV1abバゾプレッシン受容体二重欠損マウスの作成に成功した。V1a欠損マウスでは、学習記憶障害が見られ、V1b欠損マウスでは、脳下垂体副腎皮質ホルモン系の異常が見られた。さらに、V1b欠損マウスから摘出された膵臓ではAVP刺激によるインスリン分泌の低下が見られた。これらの結果は、V1aやV1bバゾプレッシン受容体拮抗薬の副作用として学習記憶や内分泌系に異常をきたす可能性を示している。しかしながら、このことは、例えば、V1a選択的作動薬であれば記憶学習の改善効果が期待され、また、V1b選択的作動薬であれば、ACTH分泌刺激・インスリン分泌刺激効果が期待される。
結論
作成した遺伝子改変動物の解析により、新たな受容体の機能・薬物の効果が解明でき、ゲノム創薬において有用となる。

公開日・更新日

公開日
2005-03-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
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