動脈硬化症と血栓症にかかわるスフィンゴシン1-リン酸(S1P)受容体(S1P3)の拮抗薬の開発

文献情報

文献番号
200400861A
報告書区分
総括
研究課題名
動脈硬化症と血栓症にかかわるスフィンゴシン1-リン酸(S1P)受容体(S1P3)の拮抗薬の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
望月 直樹(国立循環器病センター)
研究分担者(所属機関)
  • 澤  洋文(北海道大学医学部分子細胞病理学)
  • 小出 友紀(トーアエイヨー株式会社)
  • 福原 茂朋(国立循環器病センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
血小板凝集抑制だけでは抑えきれない動脈硬化症を内皮細胞で発現するS1P受容体を制御することで動脈硬化症を治療するという考えでS1P受容体の作働薬・拮抗薬を創薬することを目的とする。
研究方法
S1P1/EDG1, S1P2/EDG5またはS1P3/EDG3をそれぞれ恒常発現させたCHO-K1細胞を用いたS1Pによる[Ca2+]i上昇の抑制作用を調べた。Catalyst用いて、構造活性要求を表す薬理活性モデルを作成し、市販2,723,883化合物から成る、統合データベース2004を対象にin silicoスクリーニングを行った。 S1P依存性のERK/MAPKの活性化の抑制効果をそれぞれの細胞株で検討して、受容体特異性を確認した。Rap1の活性化の検討を行った。内皮細胞をS1P で刺激した際のRap1の活性化をモニターリングプローブを発現する細胞をマイクロピペットからS1Pで刺激し、タイムラプス顕微鏡で観察した。 S1P3受容体の発現を調べた(ヒト剖検症例のうち心疾患を認めない症例の固定標本を用いた)。anti-Edg3/S1P3で免疫染色を行った。
結果と考察
7,250化合物の市販化合物ライブラリーに対してS1P3/EDG3受容体拮抗薬のスクリーニングを行い、S1P3/EDG3受容体拮抗薬として有望なID102455を得た。S1P3/EDG3受容体拮抗作用の3次元薬理活性空間を考察したPharmacophore modelを作成した。in silicoスクリーニングでS1P3/EDG3受容体拮抗作用が期待できる化合物を購入してin vitroスクリーニングに供した。S1P3/EDG3受容体拮抗薬としてID6754を見出した。ID102455はS1P3特異的にERK/MAPKの活性化の阻害を示した。S1P刺激でHUVEC, HAECともに顕著な細胞膜ラッフリングを示した。これには局所のRap1の活性化が重要であることをイメージングで確認した。S1P3受容体は心筋内の小動脈と心外膜における冠状動脈の平滑筋、内皮細胞および内膜肥厚部に集簇しているfoamy macrophageで観察できた。
結論
S1P3/EDG3受容体拮抗薬として、TY-52162を見出した。ID6754およびTY-52162はS1P1およびS1P2受容体には顕著な拮抗活性は示さず、S1P3受容体に高い選択性を有していた。

公開日・更新日

公開日
2005-03-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-