創薬研究基盤としての新規発生工学技術の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200400860A
報告書区分
総括
研究課題名
創薬研究基盤としての新規発生工学技術の開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
松田 潤一郎(国立感染症研究所獣医科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 小倉 淳郎(理化学研究所バイオリソースセンター)
  • 上田 正次(株式会社ワイエス研究所)
  • 竹入 修二(北山ラベス株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
8,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、各種の新規発生工学技術を開発し、遺伝子改変動物や疾患モデル動物を簡便・迅速に作出するなどによって、創薬研究の共通基盤とすることを目的とし、以下の研究を行った。
研究方法
高効率の遺伝子導入法として注目されているレンチウイルスベクターを用いた遺伝子改変動物作出技術の開発として、透明帯除去マウス胚への感染条件、胚培養液(M16, KSOM)、ウイルス濃度、プロモーターの種類などを検討した。核移植クローン技術の改善、クローン産子作出のための新たなドナー細胞種の検討を行った。さらに将来の幹細胞研究および遺伝子改変動物作出に資するために生殖幹細胞株の樹立を試みた。ラットES細胞用培地の改良として、血清組成に着目して培地組成などの検討を行った。
結果と考察
レンチウイルスベクター法について、培養液としてはKSOMを用いた場合の発生率が高く、8細胞期胚に感染させた場合に発生率が最も良かった。高タイターでは毒性のため発生が抑制される傾向が見られ、またプロモーターはCAGがより強力であると考えられた。用いるドナー細胞の種類の検討や各種実験条件の適正化をすることにより核移植クローン技術を実用レベルまで上げ、NKT細胞由来のクローン個体を効率よく作成した。マウスにおいて初めて雌からも生殖幹細胞が樹立できることを示すことができた。ウサギ卵巣および精巣の細胞から生殖幹細胞様のコロニーの樹立ができ、雌株よりES様細胞株を分離できた。ラットES細胞用培地の改良を行い、ラット子宮内で可能な限りICMを増やした胚を用いて体外培養を検討した結果、ES細胞様のコロニーを示し、継代した後も良好なアルカリフォスファターゼ(ALP)活性の陽性を示す細胞を得たが、6代以上の継代は困難であった。
結論
レンチウイルスベクター法について、今後、様々な方法による受精卵への感染法の改良、ウイルスベクター構築の工夫など、効率良く系統化可能な遺伝子改変マウスを得られる方法の開発が望まれる。核移植クローン技術の実用化が進み、マウスおよびウサギの生殖幹細胞が、雌雄両方から樹立できる可能性を示した。ラットの胚性幹(ES)細胞を中心に多能性幹細胞を樹立することを目的に、マウスES細胞用培地を基本に血清添加濃度等の培養条件を検討し、内部細胞塊(ICM)からES細胞様コロニーを安定的に取得した。さらに継代培養に耐える培地組成の構築が必要である。

公開日・更新日

公開日
2005-06-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-