文献情報
文献番号
200400856A
報告書区分
総括
研究課題名
エイズ医薬品候補物質のスクリーニングを基盤とした、抗エイズ新薬開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
棚元 憲一(国立医薬品食品衛生研究所(食品添加物部))
研究分担者(所属機関)
- 牛島 廣治(東京大学大学院(医学系研究科))
- 小河 正雄(大分県衛生環境研究センタ-(微生物学))
- 星野 洪郎(群馬大学大学院(医学系研究科))
- 秋吉 京子(神戸市環境保健研究所(微生物部))
- 大竹 徹(大阪府立公衆衛生研究所(感染症部))
- 石﨑 徹(京都府保健環境研究所(細菌ウイルス課))
- 山本 直彦(名古屋大学大学院(医学系研究科))
- 貞升 健志(東京都健康安全研究センター)
- 野口 有三(横浜市衛生研究所(ウイルス学))
- 齋藤 隆行(神奈川県衛生研究所(微生物部))
- 本間 寛(北海道立衛生研究所(微生物部))
- 千々和勝己(福岡県保健環境研究所(ウイルス学))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、企業・大学等から提供される試料について、エイズウイルス増殖抑制を指標にして、広く未知の抗エイズウイルス物質探索を行う。併せて、より効率的かつ迅速なスクリーニング法の開発研究や、さらには有効物質についての作用メカニズム等の解析により、総合的な創薬への道を開くことを目的とする。
研究方法
1)エイズ医薬品候補物質のスクリーニング:応募サンプルについて、マイクロプレート法及びMAGIC-5Aアッセイ法により、抗HIV活性のスクリーニングを行う。2)新規スクリーニング方法の開発:擬似感染モデルによる、ウイルスを用いない巨細胞形成抑制試験及び、GFP発現を指標とするHIV感染検出細胞について検討する。また、リアルタイムPCRにより、抗HIV活性の状態をウイルス形成過程の各ステージで半定量的に解析する方法について検討を行う。
結果と考察
1)計505サンプルについて抗HIV活性スクリーニングを行った結果、マイクロプレート法では11サンプル、MAGIC-5Aアッセイ法では27サンプルに活性が認められた。これらのうち両方に活性を示したものはわずか5サンプルであり、多くのものはT細胞好性ウイルス及びマクロファージ好性ウイルスの増殖を選択的に抑制した。マイクロプレート法で0.03mg/ml、MAGIC-5AアッセイではIC50が2mg/mL前後という強い抗ウイルス効果を示したものがあった。2)ウイルスを用いない巨細胞形成抑制試験では、CD4とHIVgp160遺伝子を組み込んだ2種類の細胞を用いて、電顕で細胞融合を経時的に観察した。GFP発現を指標としたHIV感染検出細胞では、HIV-1感染2?3日後に合胞体を形成すると共にGFPの蛍光が有意に増大する3つのクローンが得られた。本細胞系はHIVの感染を迅速に検出する事が可能であり、GPCRのリガンドの探索や同定にも応用できる可能性がある。3)リアルタイムPCRにより、HIVの遺伝子を特異的に増幅すること及び、新たな作用点の推定に利用できることを示した。
結論
505サンプルについて抗HIV活性スクリーニングを行った結果、マイクロプレート法及びMAGIC-5Aアッセイにおいて、延べ38サンプルに活性が認められた。活性自体もかなり強いこと、多くは天然由来の粗抽出物であることから、創薬への発展が大いに期待される。また、いくつかの新規スクリーニング方法の開発研究を推進した。
公開日・更新日
公開日
2005-06-17
更新日
-