多剤耐性HIV-1による治療困難症例を克服するための新規治療薬剤・治療法開発研究

文献情報

文献番号
200400853A
報告書区分
総括
研究課題名
多剤耐性HIV-1による治療困難症例を克服するための新規治療薬剤・治療法開発研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
杉浦 亙(国立感染症研究所エイズ研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 明里 宏文(国立感染症研究所筑波医学実験用霊長類センター)
  • 北村 義浩(東京大学医科学研究所先端医療研究センター)
  • 木村 廣光(国立成育医療センター研究所共同研究管理室)
  • 駒野 淳(国立感染症研究所エイズ研究センター)
  • 田中 勇悦(琉球大学大学院医学研究科)
  • 田中 晴雄(北里大学薬学部微生物薬品製造学講座)
  • 野村 伸彦(富山化学工業株式会社総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
45,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究ではインテグラーゼ(IN)、Env、Tat、Vif等に作用してウイルスの増殖を抑制する新規化合物の開発を目的とする。
研究方法
研究班では低分子化合物及び放線菌・真菌ライブラリを対象に抗HIV-1 阻害活性を呈する新規化合物の検索を進める。また新たな阻害剤探索法の開発を行う。IN阻害剤の探索にはstrand transfer assay、接着・侵入阻害剤の探索には合胞体形成阻害法を、Tat阻害剤についてはレポーター細胞を用いた探索を行う。Vif阻害剤についてはVif機能の解明を中心に研究を進める。実用化の検討が先行している33化合物については化合物の側鎖の修飾を続け、抗HIV活性の増強を目指す。in vivoでの候補化合物の評価を行うためにhu-PBL-SCID系での評価系を構築する。アクチノヒビンについてはその阻害効果発現機序について解析を行う。
結果と考察
IN、Tat、Vifを標的にした抗HIV薬剤の探索に取り組んだ。SIVを用いた探索系開発のためウイルス複製をルシフェラーゼ発現量として評価できるSIV/nef/Lucを作出した。樹状細胞を用いた探索系開発のためにラット骨髄由来DCの分離・培養法の確立に成功した。さらにマウスDC株NSC-1細胞への遺伝子導入法について検討した。開発が先行している33個の候補化合についてHIV-1阻害効果の増強、毒性の軽減のため側鎖等の修飾を行い、新たに149個の類縁化合物について阻害活性と毒性の評価を行った。候補化合物の抗HIV活性をhu-PBL-SCIDで評価する実験系の構築に取り組み、既に臨床で用いられているnevirapineを用いてHIV-1阻害活性の評価を行った。その結果、hu-PBL-SCID が薬剤のin vivoにおける効果を評価するモデルとして活用できることが確認された。接着侵入阻害剤候補物質として報告してきたアクチノヒビンの作用機序についてはまだ不明の点が多く、構造学的解析と阻害機構の解析を行い、アクチノヒビンが高マンノース型糖鎖を認識してgp120に結合することを明らかにした。
結論
IN、Env、Tat、Vifを標的とした新たな治療薬剤の探索を実施した。33種類の候補化合物について抗HIV阻害効果の増強と毒性の軽減を試みた。更にhu-PBL-SCIDを用いた薬剤評価系を確立した。

公開日・更新日

公開日
2005-06-17
更新日
-