特定疾患対策のための免疫学的手法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200400837A
報告書区分
総括
研究課題名
特定疾患対策のための免疫学的手法の開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
住田 孝之(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 一彦(東京大学大学院医学系研究科)
  • 小池 隆夫(北海道大学大学院医学研究科)
  • 三森 経世(京都大学大学院医学研究科)
  • 西村 泰治(熊本大学大学院医学薬学研究部)
  • 山村 隆(国立精神・神経センター神経研究所)
  • 上阪 等(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
  • 松本 功(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
28,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
免疫難病発症の分子機構について分子免疫学的なアプローチにより解明し、サイエンスに基づく特異的治療を開発する。抗原特異的な制御方法をめざすため、自己抗原、B細胞およびT細胞の抗原受容体、抗原提示細胞上の主要組織適合抗原が主要なターゲット分子となる。
研究方法
(1)M3R誘導唾液腺炎モデルマウス、コラーゲン誘導関節炎モデルマウス、GPI誘導関節炎モデルマウスを作成し、M3R,CII,GPIのアナログペプチドによるin vivoにおける関節炎制御に関する研究を進めた。
(2)ES細胞に機能分子を遺伝子導入した後に樹上細胞に分化させ、マウスにMOGp35-55あるいはMBPによりEAEを発症させ遺伝子導入による抑制効果を検討した。
(3)in vitroでTCRを再構築する手法に機能分子を遺伝子導入して抗原特異的T細胞による免疫制御をCIAマウスで試みた。
(4)マウスTCRVα19Jα33+NKT細胞の機能を解析するためB6バックグランドのトランスジェニックマウスを作成しEAEの発症について検討した。
結果と考察
(1)CIAモデルマウスにおいては、CII262G→D,K,AおよびCII264K→Aをアナログペプチドの候補として選定。動物モデルを用いた基盤研究はRAを対象としたclinical trialに進むため必要不可欠な研究課題である。
(2)抗原と機能分子を発現した両者においてEAEの発症が抗原特異的に抑制された。本研究から抗原提示細胞の遺伝的改変により自己免疫疾患モデルの抗原特異的制御が可能であることが示唆された。
(3)CIAマウスにおいて関節炎が特異的に抑制されたことで、機能的なT細胞の再構築が可能となり自己免疫疾患の抗原特異的治療への応用が期待できる。
(4)トランスジェニックマウスにおいてEAEは抑制されたことから、TCRVα19Jα33+NKT細胞はEAEに対して調節性T細胞として機能していることが判明した。
結論
T細胞の対応抗原の分子レベルでの解析とアナログペプチドによる制御、抗原提示細胞の遺伝子操作によるT細胞機能の調節、T細胞受容体の再構築とin vivoにおける抗原特異的制御の検討、NKT細胞による自己免疫応答の制御に関する基盤技術の開発を進めてきた。これらは、免疫難病の抗原特異的制御法を確立するうえで重要であり、国際的にも発展性のある研究である。

公開日・更新日

公開日
2005-04-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-20
更新日
-

文献情報

文献番号
200400837B
報告書区分
総合
研究課題名
特定疾患対策のための免疫学的手法の開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
住田 孝之(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 一彦(東京大学大学院医学系研究科)
  • 小池 隆夫(北海道大学大学院医学研究科)
  • 三森 経世(京都大学大学院医学研究科)
  • 西村 泰治(熊本大学大学院医学薬学研究部)
  • 山村 隆(国立精神・神経センター神経研究所)
  • 上阪 等(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
  • 松本 功(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
免疫難病発症の分子機構について、分子免疫学的なアプローチにより解明し、サイエンスに基づく特異的治療を開発する。そのために、病因となっている自己抗原、自己反応性リンパ球の抗原受容体、抗原提示細胞上の拘束分子を検出、解析、制御する基盤技術を開発、推進する。抗原特異的な制御方法をめざすため、自己抗原、B細胞およびT細胞の抗原受容体、抗原提示細胞上の主要組織適合抗原(MHC)が主要なターゲット分子となる。
研究方法
1)免疫難病の代表的疾患であるシェーグレン症候群(SS)および関節リウマチ (RA)を対象として自己反応性T細胞のT細胞エピトープを決定し、サイトカイン産生能などからアナログペプチドの選定を行った。
2)RT-PCR/SSCP法を用いて、自己免疫疾患などの病変局所に集積している抗原特異的T細胞クローンを解析し、TCRa鎖、b鎖遺伝子をクローニング後に再構築して、制御分子とともに遺伝子導入した。CIAモデルマウスなどを用いて抗原特異的T細胞による制御を試みた。
3)マウスES細胞を用いて、抗原遺伝子、制御分子遺伝子を導入した。次に、ES細胞をDCに分化させEAEモデルマウスに投与することにより、EAEの抗原特異的治療について検討した。
4)第二のNKT細胞(TCRVα19Jα33+)のトランスジェニックマウスを用いてEAEに対する制御戦略を検討した。
結果と考察
1)SS患者においては、α-アミラーゼ、M3Rのアナログペプチドを明らかにした。RAにおいては、CIIのアナログペプチドを明らかにした。
2)CIA関節炎の病変局所の単一細胞から単離したTCRα、β鎖のcDNAとsTNFR-Ig遺伝子を導入することにより、CIAを抗原特異的に抑制することに成功した。
3)抗原と制御分子(TRAIL, PD-L1)を遺伝子導入した後分化させたES-DCにより、EAEの発症を抑制できた。 
4)TCRVα19Jα33トランスジェニックマウスにおいてEAEは特異的に抑制された。
結論
本研究の成果から、1)T細胞の対応抗原の分子改変、2)T細胞抗原受容体の再構築と制御分子、3)制御分子遺伝子導入ES-DC細胞、4)NKT細胞、による自己免疫疾患の抗原特異的制御の基盤技術の開発がなされたと結論できよう。

公開日・更新日

公開日
2005-04-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-20
更新日
-