混合性結合組織病の病態、治療と関連する遺伝的因子、自己抗体の研究

文献情報

文献番号
200400830A
報告書区分
総括
研究課題名
混合性結合組織病の病態、治療と関連する遺伝的因子、自己抗体の研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 啓文(北里大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 三崎 義堅(東京大学医学部附属病院)
  • 三森 経世(京都大学大学院医学研究科)
  • 高崎 芳成(順天堂大学医学部)
  • 岡田 純(北里大学医学部)
  • 原 まさ子(東京女子医科大学付属膠原病リウマチ痛風センター)
  • 吉田 俊治(藤田保健衛生大学医学部)
  • 大久保 光夫(埼玉医科大学総合医療センター)
  • 青塚 新一(国立国際医療センター研究所)
  • 吉尾 卓(自治医科大学)
  • 堤 明人(筑波大学臨床医学系)
  • 諏訪 昭(慶応義塾大学医学部)
  • 岡本 尚(名古屋市立大学大学院医学研究科)
  • 北里 英郎(北里大学医療衛生学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
23,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
混合性結合組織病(MCTD)に関する平成14年度からの本研究班は抗U1RNP抗体陽性無治療患者の経過、抗体、HLA DNAタイピングを解析し、診断基準を改訂すること、病態に関連する自己抗体と遺伝子の解析、肺高血圧症(PH)の病態の解明と治療ガイドラインの提案を主目的に研究を計画した。
研究方法
平成11年度より登録を開始した抗U1RNP抗体陽性無治療の188例の経過票を回収した。抗体を一括測定し、現行のMCTD診断基準を用いて診断群と非診断群に分けて比較し、診断基準の改定を試みた。血清、DNAを加えたデータバンクを構築した。各個研究で抗U1RNP抗体の産生機序、自己抗体や病態と関連する遺伝子異常の解析、PHの病態と治療研究を行った。
結果と考察
1)抗U1RNP抗体陽性例の経過観察と診断基準の改定:142例を現行MCTD診断基準を用いて2群に分類した、SSc様所見とPM/DM様所見はMCTD群に有意に多かった。抗Sm抗体、抗DNA抗体は両群で有意差が無かったが、PHはMCTD群で圧倒的に多かった。PHを従来の共通所見に加えて中核所見と名称を変更して1項目とする改定を提案した。2)抗U1RNP抗体と遺伝子異常:本抗体の産生機序の解明に関しては、U1RNPを樹状細胞内に導入すると活性化されるなどの成果があったが、道半ばである。遺伝子研究を班で構築したデータバンクを用いて行う体制が出来上がった。抗U1RNP抗体の抗原、U1RNP・AにSNPが抗体陽性症例に有意に多く、抗体産生に遺伝的背景があることが示された。抗U1RNP抗体がin vitroでPHの発症に関与する可能性が示唆され、抗U1RNP抗体の新しいエピトープが発見された。3)PHの病態と治療:PH合併例ではNO合成酵素の2ヶ所に遺伝子多型が認められた。膠原病に合併するPHの治療薬としてエポプロステノールとボセンタンが承認され、PHの治療が新時代に入った。MCTDを含む膠原病合併PHの治療ガイドライン(案)を厚生科学研究の他の研究班と共同で提案した。4)MCTD治療ガイドラインを改訂し、発刊する。
結論
1)抗U1RNP抗体陽性患者のデータベースを用いてMCTDの診断基準の改定を提案した。2)抗U1RNP抗体の産生機序と遺伝子変異の解明、PHに関連する遺伝子多型の研究に進展があった。3)MCTD治療ガイドラインを改訂し、発刊する

公開日・更新日

公開日
2005-08-03
更新日
-

文献情報

文献番号
200400830B
報告書区分
総合
研究課題名
混合性結合組織病の病態、治療と関連する遺伝的因子、自己抗体の研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 啓文(北里大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 三崎 義堅(東京大学医学部附属病院)
  • 三森 経世(京都大学大学院医学研究科)
  • 高崎 芳成(順天堂大学医学部)
  • 岡田 純(北里大学医学部)
  • 原 まさ子(東京女子医大附属膠原病リウマチ痛風センター)
  • 吉田 俊治(藤田保健衛生大学医学部)
  • 大久保 光夫(埼玉医科大学総合医療センター)
  • 青塚 新一(国立国際医療センター研究所)
  • 吉尾 卓(自治医科大学)
  • 堤 明人(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
  • 諏訪 昭(慶應義塾大学医学部)
  • 岡本 尚(名古屋市立大学大学院医学研究科)
  • 北里 英郎(北里大学医療衛生学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
混合性結合組織病(MCTD)は抗U1RNP抗体を必須の自己抗体とする疾患である。本抗体の臨床的意義とMCTDとの関連をプロスペクティブに明らかにし、診断基準の改定を検討する。病態と関連する自己免疫機序と遺伝子の解析、肺高血圧症(PH)の病態の解明と治療ガイドラインの作成と検証を目的に設定した。
研究方法
平成11年度より班のプロジェクト研究として抗体陽性無治療例188症例を登録し、経過を観察してきた。登録症例について経過観察調査票の回収、血清、HLA DNAタイピングの集積を行ない、現行のMCTD診断基準を用いて診断群と非診断群に分けて比較し、診断基準の改定を試みた。臨床経過、血清、DNAを含むデータバンクを構築し、DNAを各個研究に提供した。
結果と考察
1)抗U1RNP抗体陽性無治療例のプロスペクティブ研究:142例をMCTD診断基準で診断群と非診断群に分類した。SSc様所見、PM/DM様所見は診断群に有意に多かったが、抗Sm抗体、抗DNA抗体は両群で差がなかった。PHは診断群に有意に多く、PHを従来の2共通所見を加えて中核所見として1項目とする診断基準の改定を行った。2)抗U1RNP抗体と遺伝子異常:本抗体の産生機序の解明に関しては道半ばである。遺伝子研究の推進のため、班はデータバンクを構築した。抗U1RNP体陽性群ではU1RNP・A抗原にSNPが有意に多かった。3)PHの病態と治療:PPHではBMPR-Ⅱの遺伝子変異が高率であるが、膠原病合併PHでは変異が認められなかった。しかし、PH合併例ではNO合成酵素の遺伝子多型が認められた。PHのモデル動物に、PGD合成酵素を発現する線維芽細胞を投与し、PHの抑制を証明した。膠原病に合併するPHの治療薬としてエポプロステノールとボセンタンが承認され、PHの治療が新しい時代に入った。膠原病合併PHの治療ガイドライン(案)を厚生科学研究の他の研究班と共同で提案した。4)MCTD治療ガイドラインを改訂し、発刊する。
結論
1)抗U1RNP抗体患者の研究により、PHを中核所見とするMCTD診断基準の改定を行なった。2)抗U1RNP抗体陽性患者のデータバンクを構築し、抗体の対応抗原のSNP、NO合成酵素の遺伝子多型を検出した3)膠原病合併PHの治療ガイドライン(案)を他の研究班と共同提案した。

公開日・更新日

公開日
2005-08-03
更新日
-