文献情報
文献番号
200400828A
報告書区分
総括
研究課題名
稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
北島 康雄(岐阜大学大学院医学研究科医科学専攻病態制御学講座皮膚病態学分野)
研究分担者(所属機関)
- 橋本 隆(久留米大学医学部皮膚科)
- 天谷 雅行(慶応義塾大学医学部皮膚科)
- 岩月 啓氏(岡山大学大学院医歯学総合研究科皮膚粘膜結合織学分野)
- 清水 宏(北海道大学大学院医学研究科皮膚粘膜病学分野)
- 橋本 公二(愛媛大学医学部皮膚科)
- 金田 安史(大阪大学大学院医学系研究科遺伝子治療学)
- 池田 志斈(順天堂大学医学部皮膚科)
- 山本 明美(旭川医科大学医学部皮膚科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
28,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
当研究班では天疱瘡、膿疱性乾癬、表皮水疱症、水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症の4疾患についての診断基準の見直し、それに基づく疫学的研究による患者数と治療状態の実体の把握、さらに発症分子病態の解明、原因遺伝子と臨床表現型との相関の解析、原因遺伝子から発症までの機序の解明、これらを基にEBMに基づく治療法の開発を目的とした。
研究方法
上記4疾患について、倫理面での充分な配慮がなされた上で各分担研究者、研究協力者が協力し、全国的規模での疫学的研究、治療とQOLの評価さらにゲノムワイドな遺伝子相関解析を行なった。また個々の疾患につき担当の分担研究者が中心となって、発症分子病態の解明、EBMに基づく治療法の開発を行なった。
結果と考察
天疱瘡:天疱瘡モデルマウスは各種免疫抑制剤で検討したところ症状抑制効果を認め、種々の免疫抑制療法の有用な評価系であった。抗CD40L抗体は発症抑制に有効で、新しい治療薬としての可能性が示唆された。モノクローナル抗体を用いた実験から、PV-IgG 刺激による強いDsg3減少効果は多数のDsg3ポリクローナル抗体の相加的効果であると推察された。ELISA法を用いた治療指針を提示した。膿疱性乾癬:日本乾癬学会の小児登録例は13名で、経過は小児の方が悪化不変の頻度が高かった。また有意にシクロスポリン,抗炎症剤を選択しており,小児治療ガイドライン作成の必要があると思われた。SF-36v2と重症度・治療評価調査票による二次調査を開始した.ゲノムワイドな遺伝的相関解析を完了し、40個のマーカーに有意な相関が認められた。三次元培養ヒト皮膚を用いた膿疱形成機序モデルを開発した。表皮水疱症:34例の出生前診断を施行したところ、出生前診断の新ガイドライン設定の必要性が明らかとなった。三次元培養皮膚へのアデノウィルスベクター、超音波を用いた新たな遺伝子導入法を確立した。マウス胎児皮膚にGFP発現プラスミドを導入することにより、GFPに対する免疫寛容を誘導し得た。水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症:本症の年間受療患者数は55人と推計。二次調査票は28例で、症状は全身の皮疹96%、紅皮症68%、全身の水疱58%等であった。K1, K10変異についてgenotype/phenotype の解析を行なった。
結論
上記4疾患に関する上記の結果および考察から本研究の3年計画の第3年度の目標はほぼ達せられたと考える。
公開日・更新日
公開日
2005-08-03
更新日
-