呼吸不全に関する調査研究

文献情報

文献番号
200400823A
報告書区分
総括
研究課題名
呼吸不全に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
久保 惠嗣(信州大学医学部内科学第一教室)
研究分担者(所属機関)
  • 西村正治(北海道大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野)
  • 栗山喬之(千葉大学大学院医学研究院加齢呼吸器病態制御学)
  • 堀江孝至(日本大学医学部第一内科)
  • 三嶋理晃(京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学)
  • 福地義之助(順天堂大学医学部呼吸器内科)
  • 山口佳寿博(佐野厚生総合病院)
  • 永井厚志(東京女子医科大学第一内科学講座)
  • 友池仁暢(国立循環器病センター)
  • 坂谷光則(国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
  • 白土邦男(東北大学大学院医学系研究科内科病態学)
  • 木村 弘(奈良県立医科大学内科学第二講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
呼吸不全関連疾患(若年性肺気腫を含む慢性閉塞性肺疾患(COPD)・肺リンパ脈管筋腫症(LAM)・肥満低換気症候群を含む閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)・肺胞低換気症候群・原発性肺高血圧症(PPH)・慢性血栓塞栓性高血圧症(CTEPH))を対象として、病因・病態の探求、新たな治療法の模索・開発を目指す。
研究方法
臨床疫学的・病理学的・分子生物学的および遺伝子学的解析を駆使し発症機序・病態を解明すると共に、治療法の確立を目指して多方面からアプローチした。
結果と考察
COPDはHRCT画像上4つのphenotypeに分類され、臨床的・生理学的特徴、治療に対する反応性の差異が存在すること、性差、若年発症の特徴、各々の病変形成に関わる遺伝子多型を含む様々な因子と喫煙感受性の関係、粘液産生亢進機序、急性増悪とウイルス感染との関係、発症機序としての細胞死と老化仮説の関係を明らかにした。以上の病態解明に伴い新しい治療法の可能性が示された。また低X線量検診CTとスパイロメトリーが早期肺気腫・COPDのスクリーニングに有用であり、禁煙の啓蒙に繋げたい。在宅人工呼吸療法の全国調査の結果では在宅呼吸ケアの現状と問題点が明らかとなり、更なる充実が必要である。LAMの全国調査からホルモン療法を含め有効な治療法が無い現状や予後の異なる2群が存在すること、LAMの進展にリンパ管新生が関与し、免疫組織学的指標が重症度や進行度の判定に有用であることが示され、新しい診断法や治療法の開発に繋がる可能性が見出された。OSASでは周期的低酸素や睡眠障害により末梢血単球機能やアディポネクチンの分泌動態の変化、血管内皮機能障害、交感神経活動亢進や心機能の変化、酸化ストレスを含む動脈硬化関連分子の産生亢進により動脈硬化の進展・心臓血管疾患発症に繋がること、n-CPAP治療はこれらの危険因子を抑制し得る可能性が示され治療の意義がより明確になった。PPH発症にBMPR2、ALK1遺伝子変異が関与し、PPH以外の肺動脈肺高血圧では関与が少ないことやHLA-B*5201及びDPB1*0202はそれぞれCTEPHへの疾患感受性、及び異なる臨床病態形成に関連することを報告した。
結論
呼吸不全関連6疾患の病態、発症機序、合併症・予後との関連など一端が明らかとなり、新たな治療法の可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2005-04-04
更新日
-

文献情報

文献番号
200400823B
報告書区分
総合
研究課題名
呼吸不全に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
久保 惠嗣(信州大学医学部内科学第一教室)
研究分担者(所属機関)
  • 西村正治(北海道大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野)
  • 栗山喬之(千葉大学大学院医学研究院加齢呼吸器病態制御学)
  • 堀江孝至(日本大学医学部第一内科)
  • 三嶋理晃(京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学)
  • 福地義之助(順天堂大学医学部呼吸器内科)
  • 山口佳寿博(佐野厚生総合病院)
  • 永井厚志(東京女子医科大学第一内科学講座)
  • 友池仁暢(国立循環器病センター)
  • 坂谷光則(国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
  • 白土邦男(東北大学大学院医学系研究科内科病態学)
  • 木村 弘(奈良県立医科大学内科学第二講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
呼吸不全関連疾患(若年性肺気腫を含む慢性閉塞性肺疾患(COPD)・肺リンパ脈管筋腫症(LAM)・肥満低換気症候群を含む閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)・肺胞低換気症候群・原発性肺高血圧症(PPH)・慢性血栓塞栓性高血圧症(CTEPH))を対象として、病因・病態の探求、新たな治療法の模索・開発を目指す。
研究方法
臨床疫学的・病理学的・分子生物学的および遺伝子学的解析を駆使し発症機序・病態を解明すると共に、治療法の確立を目指して多方面からアプローチした。
結果と考察
COPDをHRCT画像上4つのphenotypeに分類した時の臨床的・生理学的特徴、治療に対する反応性および喫煙感受性の差異について、性差、若年発症の特徴、各々の病変形成に関わる遺伝子多型を含む様々な因子と喫煙感受性の関係、粘液産生亢進機序、急性増悪時とウイルス感染との関係を明らかにし、肺気腫モデルマウスを用いた実験系および発症機序に関して細胞死と老化仮説を構築した。これらの病態の解明に伴い新しい治療法の可能性が示された。在宅人工呼吸療法の全国調査より在宅呼吸ケアの現状把握と問題点が明示された。低X線量検診CTの早期肺気腫、COPDスクリーニングに対する有用性を明らかにした。LAMの全国調査より有効な治療法が無い現状や予後の異なる2群が存在すること、LAMの進展にリンパ管新生や肥満細胞が関与し、免疫組織学的指標が重症度や進行度の判定に有用であることが示され、新しい診断法や治療法の開発に繋がる可能性が見出された。OSASは様々な因子を介して生活習慣病および心臓脳血管障害への進展、肝機能障害と密接に関連し、n-CPAP治療はこれらの危険因子を抑制し得ること、非肥満重症例では上気道の骨性因子が関与していること、交通事故とOSASの関係、SASスクリーニング法および肥満肺胞低換気症候群の実態調査の結果が示された。PPH発症にBMPR2、ALK1遺伝子変異が関与すること、HLA-B*5201及びDPB1*0202がCTEPHへの疾患感受性、異なる臨床病態形成に関連すること、慢性PGI2使用下でのNO併用療法の有効性、CTEPH画像診断分類の確立と治療選択指針を明確にした。
結論
呼吸不全関連6疾患の病態、発症機序、合併症・予後との関連が明らかとなり、新たな治療法の可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2005-04-04
更新日
-