モヤモヤ病(ウィリス動脈輪閉塞症)に関する調査研究

文献情報

文献番号
200400817A
報告書区分
総括
研究課題名
モヤモヤ病(ウィリス動脈輪閉塞症)に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
吉本 高志(東北大学)
研究分担者(所属機関)
  • 福内 靖男(足利赤十字病院)
  • 辻  一郎(東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野)
  • 宝金 清博(札幌医科大学脳神経外科)
  • 中川原譲二(中村記念病院脳神経外科)
  • 宮本  享(国立循環器病センター脳血管外科)
  • 藤井 清孝(北里大学医学部脳神経外科)
  • 山田 和雄(名古屋市立大学大学院医学研究科)
  • 永廣 信治(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 池田 秀敏(広南病院脳神経外科)
  • 黒田  敏(北海道大学病院 脳神経外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本班研究はモヤモヤ病に関する世界唯一の大規模研究であり、病態解明・治療法確立・予後向上を通じて世界規模での社会貢献を目標としている。課題ごとに[1]疫学調査:患者実態把握、有病率に関する地域差と要因の検討,予後因子解明[2]出血発症例の治療指針:脳出血発症例の予後調査・治療方針確立[3]診断基準の見直し:非侵襲的手法による治療効果判定・病期分類[4]病因遺伝子解明:病因不明の本疾患の病因遺伝子解明、遺伝子レベルでの診断・治療法の確立、を目標とした。
研究方法
[1]疫学調査:全病院を対象に全国疫学調査を施行。[2]出血発症例の治療指針:Japan Adult Moyamoya Trialによる全国規模の前向き無作為振り分け試験研究を継続。[3]診断基準の見直し:小児例の重症度評価基準作成のため、健常小児SPECTから正常脳表血流データベースを構築。MRAによる術後治療効果の判定能の検討と、病期分類を試みた。[4]病因遺伝子解明:民族進化の歴史と家族発症モヤモヤ病の地誌的分布の相関について遺伝子解析により検討。全ゲノムの遺伝子解析により遺伝子解析、原因物質究明を進めた。
結果と考察
[1]疫学調査: 2003年の推定受療患者数は7,500人。男女比は1:1.8、家族歴は12%。1986, 1989年と比べ患者数は倍増し女性の比率が高くなっていた。[2]出血発症例の治療指針:17年現在、症例登録施設は23。54症例の登録があり手術群2例、非手術群3例が再出血を来しend pointとなった(再出血率は手術群3.5%/年、非手術群7.4%/年)。[3]診断基準の見直し:健常小児脳血流は若年成人に比べ前方循環における血流の相対的増加と後方循環における相対的低下が見られた。[4]病因遺伝子解明:ミトコンドリアDNAの解析により家族性モヤモヤ病家系は日本人全体に比べ近縁な人々の集まりであることが有意となり、罹患者の地誌的分布差の要因解明に近づいた。分子生物学的検討では統計学的に家族例での表現促進現象、これまで抽出されていなかった遺伝子の発現が対照と異なっていることが判明した。
結論
4点の重点課題,[1]疫学調査[2]出血発症例の治療指針[3]診断基準の見直し[4]病因遺伝子解明に取り組み新知見が得られた。

公開日・更新日

公開日
2005-07-27
更新日
-

文献情報

文献番号
200400817B
報告書区分
総合
研究課題名
モヤモヤ病(ウィリス動脈輪閉塞症)に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
吉本 高志(東北大学)
研究分担者(所属機関)
  • 福内 靖男(足利赤十字病院)
  • 辻  一郎(東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野)
  • 宝金 清博(札幌医科大学脳神経外科)
  • 中川原譲二(中村記念病院脳神経外科)
  • 宮本  享(国立循環器病センター脳血管外科)
  • 藤井 清孝(北里大学医学部脳神経外科)
  • 山田 和雄(名古屋市立大学大学院医学研究科)
  • 永廣 信治(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 池田 秀敏(広南病院脳神経外科)
  • 黒田  敏(北海道大学病院 脳神経外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
昭和52年度に発足された本班研究はモヤモヤ病に関する世界唯一の大規模研究であり、病態解明・治療法確立・予後向上を通じて世界規模での社会貢献を目標としている。4つの重点課題[1]疫学調査[2]出血発症例の治療指針[3]診断基準の見直し[4]病因遺伝子解明、に取り組んだ。
研究方法
[1] 疫学調査:全国疫学調査の登録様式の見直し,精密患者追跡調査による病態解明,新データベース導入を施行。[2] 出血発症例の治療指針:JAM trialによる全国規模の前向き無作為振り分け試験研究を継続。[3]診断基準の見直し:小児例の重症度評価基準作成のため、健常小児SPECTから正常脳表血流データベースを構築。MRAによる術後治療効果の判定能の検討と、病期分類を試みた。[4]病因遺伝子解明:民族進化の歴史と家族発症モヤモヤ病の地誌的分布の相関について遺伝子解析により検討。全ゲノム遺伝子解析により遺伝子解析、原因物質究明を進めた。
結果と考察
[1] 2003年の推定受療患者数は7,500人,男女比1:1.8,家族歴は12%。1986, 1989年と比べ患者数は倍増。新データベース導入によりデータ集積能力が向上。[2] 出血発症例の治療指針:17年現在、症例登録施設は23。54症例の登録があり手術群2例,非手術群3例が再出血を来した(再出血率は手術群3.5%/年,非手術群7.4%/年)。[3]小児例の重症度評価法としてSPECT統計画像(3D-SSP)解析法を用いて定位定性的・定位定量的評価法を確立、非侵襲的病期分類が可能となった。[4]ミトコンドリアDNAの解析により家族性モヤモヤ病家系は日本人全体に比べ近縁な人々の集まりであることが有意となり、罹患者の地誌的分布差の要因解明に近づいた。分子生物学的検討では統計学的に家族例での表現促進現象,これまで抽出されていなかった遺伝子の発現が対照と異なっていることが判明。
結論
施設枠を越え4つの主題に取り組むという研究姿勢の転換の結果、精度の高い疫学データが得られ、新たな診断・病態評価基準が策定され、再出血予防効果の治療指針研究が進行し、病因解明研究が遺伝子レベルで進行し得た。しかし、本症罹患患者が少ない上に本邦に偏在していること、病因・病態・治療方針の研究に残された課題があることより、施設の枠を越えた全国レベルでの研究班継続が必要である。

公開日・更新日

公開日
2005-07-27
更新日
-