文献情報
文献番号
200400815A
報告書区分
総括
研究課題名
免疫性神経疾患に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
吉良 潤一(九州大学大学院医学研究院神経内科学)
研究分担者(所属機関)
- 糸山泰人(東北大学大学院医学研究科神経内科学)
- 納 光弘(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科神経内科・老年病学)
- 斎田孝彦(国立病院機構宇多野病院)
- 田平 武(国立長寿医療センター研究所)
- 荒賀 茂(藤井政雄記念病院)
- 池田修一(信州大学医学部第三内科)
- 出雲周二(鹿児島大学医学部難治性ウイルス病態制御研究センター)
- 太田宏平(東京理科大学理学部教養)
- 大原義朗(金沢医科大学微生物学)
- 梶 龍兒(徳島大学医学部附属病院神経内科)
- 神田 隆(山口大学大学院医学研究科脳神経病態学)
- 菊地誠志(北海道大学大学院医学研究科神経内科学分野)
- 楠 進(近畿大学医学部神経内科)
- 桑原 聡(千葉大学医学部附属病院神経内科)
- 高 昌星(信州大学医学部保健学科生体情報検査学)
- 郡山達男(広島大学医学部・歯学部附属病院脳神経内科)
- 斎藤豊和(北里大学医療衛生学部リハビリテーション科)
- 酒井宏一郎(金沢医科大学神経内科)
- 清水 潤(東京大学医学部附属病院神経内科)
- 錫村明生(名古屋大学環境医学研究所神経免疫)
- 祖父江元(名古屋大学大学院医学研究科脳神経病態制御学)
- 田中恵子(新潟大学脳研究所神経内科学)
- 中村龍文(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科感染分子病態学)
- 野村恭一(埼玉医科大学総合医療センター神経内科)
- 原 寿郎(九州大学大学院医学研究院小児科学)
- 原 英夫(国立長寿医療センター研究所)
- 久永欣哉(国立病院機構宮城病院臨床研究部)
- 藤井義敬(名古屋市立大学大学院医学研究科腫瘍・免疫外科学)
- 古川 漸(山口大学医学部生殖・発達・感染医科学)
- 松井 真(国立病院機構宇多野病院臨床研究部)
- 松尾秀徳(国立病院機長崎神経医療センター神経内科)
- 松本博之(札幌医科大学医学部神経内科)
- 村井弘之(九州大学病院神経内科)
- 山村 隆(国立精神・神経センター神経研究所免疫研究部)
- 結城伸泰(獨協医科大学神経内科)
- 吉川弘明(金沢大学保健管理センター)
- 米田 誠(福井大学医学部第二内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
47,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書（概要版）
研究目的
1)全国調査により疫学的特徴を明らかにすること、2)全国調査の分析結果と実験室での研究成果を結びつけて発症機序を解明すること、3)発症機序に立脚した画期的な治療法を開発すること、及び4)発症予防法を発見すること。
研究方法
多発性硬化症(MS)およびクロウ・フカセ症候群の全国疫学調査を行った。重症筋無力症(MG)については全国調査実施の概要を検討した。MS等の髄液を用いて多種のサイトカインを同時測定した。MSの動物モデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎（EAE）に対して種々の治療薬を投与して抑制効果を調べた。GBSにおける新規抗原に対する免疫応答の病態への寄与を検討した。慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)のIVIG治療効果を規定する免疫遺伝学的背景を解析した。
結果と考察
MS全国症例調査によりわが国のMS患者数は9,900人と推定された．視神経脊髄型MS(OS-MS)ではIL-17，IL-8が髄液で高値をとった．rho kinase 阻害薬，AdIF，5-LOX阻害薬，プロスタグランジン合成阻害薬によるEAEの治療効果を見出した．MSにおいて血清VEGFが再発期に高値となることを明らかにした．MS患者由来Th1細胞が内皮細胞下に特異的に浸潤することを明らかにした．MGではCXCR5陽性CD4+T細胞は未治療MG患者で有意に増加していた．抗AChR抗体陽性MGのIgGはAChRクラスターを減少させたが，抗AChR抗体陰性MGでは不定であった．GBS血清中の抗ガングリオシド抗体が，ガングリオシドとリン脂質の複合体やガングリオシド複合体を認識することを示した．CIDPはTh1細胞の病態への関与が大きいことを明らかにした．治療抵抗性CIDPでのシクロスポリンの有効性を示した．クロウ・フカセ症候群の全国調査では，診断基準に血清VEGF値を加えることで診断率が向上した．HAM患者における網羅的な遺伝子解析により，新たに発症促進因子，発症抑制因子を同定した．
結論
MSおよびクロウ・フカセ症候群の全国臨床疫学調査が行われ，両疾患の概況が明らかにされた．クロウ・フカセ症候群に対する骨髄幹細胞移植，MGやCIDPに対する免疫抑制薬投与など新規の治療法も検討された．神経免疫疾患の病態解明に重要な意味を持つ髄液を用いた新しい検査法がさらに発展した．MSの動物モデルであるEAEの研究が進んだ．
公開日・更新日
公開日
2005-08-04
更新日
-