文献情報
文献番号
200400802A
報告書区分
総括
研究課題名
原発性免疫不全症候群に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
宮脇 利男(国立大学法人富山医科薬科大学医学部小児科学)
研究分担者(所属機関)
- 有賀 正(北海道大学大学院医学研究科小児発達学)
- 土屋 滋(東北大学加齢医学研究所発達病態研究分野)
- 野々山恵章(防衛医科大学校医学研究科小児科学)
- 上松 一永(信州大学大学院医学研究科臓器移植細胞工学医科学系専攻移植免疫感染症学)
- 近藤 直実(岐阜大学大学院医学研究科小児病態学分野)
- 布井 裕幸(宮崎大学医学部小児科学)
- 小林 陽之助(関西医科大学医学部小児科学)
- 原 寿郎(九州大学大学院医学研究院成長発達学)
- 岩田 力(東京大学大学院医学系研究科生殖発達加齢医学専攻小児医学講座発達発育学分野)
- 小安 重夫(慶應義塾大学医学部微生物学・免疫学)
- 斉藤 隆(理化学研究所横浜研究所免疫・アレルギー科学総合研究センター免疫シグナル研究グループ)
- 烏山 一(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科免疫アレルギー学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本調査研究班は、原発性免疫不全症候群の疫学調査、病因や病態の解明、診断法や治療法の開発、患者のQOLの改善を目的に、重点目標として、1) 疫学調査研究、2) 簡易診断法の開発と遺伝子解析、3) 責任遺伝子,発症機構,病態の解明、4) 治療法の改良と遺伝子治療研究、5) ホームページの充実と患者QOLの改善を掲げ、平成14年より調査・研究を推進している。
研究方法
原発性免疫不全症候群に含まれる各種の疾患を対象に、臨床調査個人表を活用した新規登録および疫学調査、簡易診断と遺伝子解析を併用した遺伝子診断、臨床的観察や基礎的研究に基づいた病態解析、責任遺伝子の同定のための新たな手法の開発、患者のQOLの向上につながる治療法の改良、遺伝子治療の臨床的基礎的研究などを行った。
結果と考察
平成16年度では以下の結果が得られた。1.疫学調査研究:全国登録の推進に努め、新規に18例(男性12例、女性6例)が登録され、延べ登録数は 1,250名となり、内訳は男性907名(72.6%)、女性343名(27.4%)となった。2.簡易診断法の開発と遺伝子解析:簡易診断法と遺伝子解析を併用、新たに45家系で遺伝子診断を行なった。新規責任遺伝子に関して、CD3delta遺伝子変異、Artemis遺伝子変異およびNEMO遺伝子変異を日本の症例で確認した。3.責任遺伝子,発症機構,病態の解明:各種疾患の基礎的・臨床的解析を行った。特に、我国で数多く集積されている疾患(XLA、高IgM症候群、Bloom症候群等)の遺伝子変異の特徴、臨床的表現型および予後との関係について検討を加えた。早期発見と適切な治療の開始の重要性が再確認された。また、新規責任遺伝子同定に向けての研究を続行した。4.治療法の改良と遺伝子治療研究:最近、有望視されているドナーに優しい骨髄非破壊的同種骨髄移植を一部の症例で施行し、成功裏に実施した。新たなベクター開発の基礎的研究を行い、先にCD34陽性血液幹細胞を標的として遺伝子治療を行ったアデノシンデアミナーゼ欠損症は、現在、順調に経過している。5.ホームページの充実と患者QOLの改善:患者・家族からの問合せに誠意をもって対応した。しかし、患者・家族にとって分かり易い解説書や安心して治療に専念できる専門病院の情報に対する要望が強いことが分かった。
結論
本調査研究では、原発性免疫不全症候群に含まれる疾患の診断や治療に結びつく臨床的基礎的調査研究を、分担研究者間の連携を密に実施した。得られた成果を生かした今後の調査研究の活用や展開が求められる。
公開日・更新日
公開日
2005-05-12
更新日
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