文献情報
文献番号
200400801A
報告書区分
総括
研究課題名
血液凝固異常症に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
池田 康夫(慶応義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 藤村欣吾(広島大学大学院医歯薬学総合研究科)
- 倉田義之(大阪大学医学部付属病院)
- 桑名正隆(慶應義塾大学先端医科学研究所)
- 宮田敏行(国立循環器病センター研究所)
- 村田満(慶應義塾大学医学部)
- 辻肇(京都府立医科大学)
- 小島哲人(名古屋大学医学部)
- 川崎富夫(大阪大学医学部)
- 坂田洋一(自治医科大学)
- 和田英夫(三重大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
21,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
特定疾患治療研究事業の対象とされている特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の他、血栓性微少血管障害症(TMA)、特発性血栓症の3疾患について、その病態の解明と共に我が国の指針となるべき診断・治療ガイドラインの作成を目標として、それぞれの疾患を担当するサブグループを作り、調査研究を行う。
研究方法
3つのグループに分かれ、それぞれの課題に取り組むと共にグループ間のinteractionを活発に行う事によって出血性疾患・血栓性疾患の理解が深められるように計画された。平成15年度までに本研究班では多くの研究成果をあげており、それらに基づき平成16年度の研究が展開された。
結果と考察
ITPに関しては、新しい診断基準案を作成した。この診断基準にはこれまで本研究で行われた分子病態解析研究の成果をふまえてGPIIb/IIIa抗体産生B細胞数、網状血小板比率、血漿トロンボポエチン濃度、血小板結合GPIIb/IIIa抗体の4項目が加えられ、診断の特異性94%、感度96%と満足のいく結果が得られた。治療に関してはHP除菌療法の効果が検証出来た事に基づき、治療ガイドラインの改定案が新たに示された。
TMA研究グループでは、先天性ADAMTS13欠損を示すUpshaw-Shulman症候群の9例について責任遺伝子異常が明らかにされた。ADAMTS13TMAの診断・治療を考える際に最も重要な蛋白であり、その新しい活性/抗原量の測定法が開発され、測定法の有用性の検討が開始されている。
特発性血栓症研究グループでは、血栓関連因子の日本人での遺伝子多型頻度が検討され幾つかの遺伝子で欧米との差異が明らかになった。多施設共同研究として深部静脈血栓症患者161例を収集し、地域一般住民3,650名のそれと比較したところ、プロテインS徳島変異の頻度が深部静脈血栓症患者で有意に高い事が明らかとなった。
TMA研究グループでは、先天性ADAMTS13欠損を示すUpshaw-Shulman症候群の9例について責任遺伝子異常が明らかにされた。ADAMTS13TMAの診断・治療を考える際に最も重要な蛋白であり、その新しい活性/抗原量の測定法が開発され、測定法の有用性の検討が開始されている。
特発性血栓症研究グループでは、血栓関連因子の日本人での遺伝子多型頻度が検討され幾つかの遺伝子で欧米との差異が明らかになった。多施設共同研究として深部静脈血栓症患者161例を収集し、地域一般住民3,650名のそれと比較したところ、プロテインS徳島変異の頻度が深部静脈血栓症患者で有意に高い事が明らかとなった。
結論
平成16年度の研究は最終年度のとりまとめとして行われ、既述した如くの成果を上げた。即ち、ITPにおいては、新たな診断基準・治療ガイドラインが作成され、TMA、特発性血栓症については、分子病態がより明確に理解されるようになった。このように「血液凝固異常症に関する調査研究」班は3年間の研究期間でみるべき成果をあげたが、新たに作成されたITPの診断基準、治療ガイドラインについては、outcome researchと呼ぶべき検証作業が重要課題として残されており、TMA、特発性血栓症についても引き続き研究をすべき重要な課題が残っており、班として継続して取り組む必要がある。
公開日・更新日
公開日
2005-08-03
更新日
-