特発性造血障害に関する調査研究

文献情報

文献番号
200400800A
報告書区分
総括
研究課題名
特発性造血障害に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
小峰 光博(昭和大学藤が丘病院内科血液)
研究分担者(所属機関)
  • 浅野 茂隆(早稲田大学理工学部)
  • 内山 卓(京都大学血液病態学)
  • 浦部 晶夫(NTT関東病院血液内科)
  • 小澤 敬也(自治医科大学血液学)
  • 金倉 譲(大阪大学分子病態内科学)
  • 朝長 万左男(長崎大学医学部原爆後障害医療研究施設内科)
  • 中畑 龍俊(京都大学発達小児科学)
  • 原田 実根(九州大学病態修復内科学)
  • 村手 隆(名古屋大学医学部保健学科病因・病態検査学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
42,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
再生不良性貧血、溶血性貧血、不応性貧血(骨髄異形成症候群)、骨髄線維症の4疾患を対象に、疫学、病因、病態、治療、予後などを班組織の利点を生かして体系的継続的に研究し得られた成果を臨床の場に還元する。
研究方法
主任・分担研究者10、研究協力者22とし、前年度と変わらない。MDS重点研究班(班長三谷絹子)と連携協力した。共同研究を重視し、継続課題とされたテーマの完了を優先目標とした。新たに赤芽球癆の病態と治療実態の調査を開始した。最終年に当り6年間の成果を踏まえて診断基準と重症度基準を見直し、臨床に役立つ「診療の参照ガイド」を作成することとした。骨髄不全の理解と治療について国際コンセンサス会議を開催し欧米から8人を招聘した。国際PNH専門家会議に参加し共同研究計画を作成した。
結果と考察
再不貧では、新臨床調査個人票の4,049件を集計し、年度を越えた連結データも集計できた。ATGとCyAを含む免疫抑制療法が一般化した1995年以降の成人再不貧症例の長期予後把握のため199例を解析し、有効率82%、5年生存86%、再発18%の成績を得た。移植療法を受けた成人例の追跡調査で10年生存83%、全体のQOLは良好だが10%で身体面の低下を認めた。前方視登録に20例が登録された。小児例のデータベースを用い中等症と軽症例の臨床像を比較した。赤芽球癆87例が集計され問題点が整理された。溶血性貧血のAIHAでは、自己抗原としてRhミモトープ同定が追求され、PNHでは異常クローン拡大機序の追求とRNAアプタマーによる溶血阻止薬の開発が進められた。不応性貧血では、低リスク病型に対するCyA治療研究を終了し、有効率58%の成績を得た。高リスク病型に対するミニ移植研究で6例中3例で完全キメラが得られた。骨髄線維症では、治療法開発に有用なモデルマウスが作成された。各個研究では分子、遺伝子レベルの研究が多数行われた。
結論
最終年度にあたり当初設定した研究課題と到達目標をほぼ予定通り達成できた。得られた知見を実地臨床に反映するため、診断基準、重症度基準を改定し、疾患毎に「診療の参照ガイド」を作成し提示した。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-

文献情報

文献番号
200400800B
報告書区分
総合
研究課題名
特発性造血障害に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
小峰 光博(昭和大学藤が丘病院内科血液)
研究分担者(所属機関)
  • 浅野 茂隆(早稲田大学理工学部)
  • 内山 卓(京都大学血液病態学)
  • 浦部 晶夫(NTT関東病院血液内科)
  • 小澤 敬也(自治医科大学血液学)
  • 金倉 譲(大阪大学分子病態内科学)
  • 朝長 万左男(長崎大学医学部原爆後障害医療研究施設内科)
  • 中畑 龍俊(京都大学発達小児科学)
  • 原田 実根(九州大学病態修復内科学)
  • 村手 隆(名古屋大学医学部保健学科病因・病態検査学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
再生不良性貧血、溶血性貧血、不応性貧血(骨髄異形成症候群)、骨髄線維症の4疾患を対象に、基礎的・臨床的な問題に取り組み医療に還元する。目標は①診断基準・重症度基準の見直し、②長期経過・予後の実態把握、③症例登録システムの整備、④前方視治療研究の遂行、⑤検体集中による病因研究、⑥再不貧調査個人票データの集計、⑦国際協調による研究の推進、⑧「診療の参照ガイド」の作成とした。
研究方法
主任・分担研究者10、研究協力者22とし、MDS重点研究班と連携した。研究の公開性と倫理性に配慮し、患者の自由意思の尊重と個人情報保護に留意した。重要事項は班員会議で決定した。
結果と考察
再不貧では、①旧個人票8,281、新個人票4,049を集計、連結データも解析した。②前方視集団で重症成人例の4年生存89%、再発25%、少数に病像移行を認めた。③成人例の長期予後調査で5年生存86%、再発18%であった。④成人移植例で10年生存83%、QOLはほぼ良好、二次癌は3%であった。⑤ダナゾールの有効性を評価。⑥ATG再投与の調査で安全性にほぼ問題なかった。⑦小児の年代別予後比較とクローン性造血異常の出現を調べた。⑧前方視登録体制を構築した。⑨PNH血球検出の意義を究明した。⑩赤芽球癆の実態調査を実施。⑪Fanconi貧血の分子病態解明を継続。⑫骨髄不全症の国際コンセンサス会議を開いた。溶血性貧血では、①PNHの日米比較が終了した。②変異クローン拡大への免疫障害の逸脱と追加変異の関与を示した。③補体阻害薬の開発を日米共同で進めた。④結合IgG定量でCoombs陰性AIHAの診断が可能となった。⑤Rh抗原構造を解析した。不応性貧血では、①症例登録を継続した。②低リスク病型のシクロスポリン療法の治療研究を終了。③高リスク病型のミニ移植で3/6に完全キメラを得た。④診断と病態比較を日独で行った。⑤小児MDSに特徴的な遺伝子変異を認めた。骨髄線維症では、①追跡調査で予後因子を抽出した。②22例の骨髄移植成績は良好であった。③好適なマウスモデルが作成された。
結論
予定の研究課題と目標はほぼ達成した。未解決の今後の問題と継続課題を整理した。班組織での前方視治療研究の基盤が整った。研究成果を臨床に還元するため、診断基準・重症度基準の改訂とともに、4疾患7病型の「診療の参照ガイド」を作成した。

公開日・更新日

公開日
2005-08-04
更新日
-