文献情報
文献番号
200400793A
報告書区分
総括
研究課題名
SLEなど難治性自己免疫疾患に対する自家、同種造血幹細胞移植の安全性及び有効性の検討に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
谷口 修一(国家公務員共済組合連合会虎の門病院 血液科)
研究分担者(所属機関)
- 原田 実根(九州大学大学院医学研究院 病態修復内科学)
- 高上 洋一(国立がんセンター中央病院 薬物療法部)
- 三森 明夫(国立国際医療センター 膠原病科)
- 當間 重人(国立病院機構相模原病院臨床研究センター リウマチ性疾患研究部)
- 神田 善伸(東京大学医学部附属病院 無菌治療部)
- 澤田 俊夫(群馬県立がんセンター)
- 高添 正和(社会保険中央総合病院 内科)
- 原 茂子(国家公務員共済組合連合会虎の門病院 健康管理センター)
- 大橋 靖雄(東京大学大学院医学系研究科 健康科学看護学科)
- 小池 隆夫(北海道大学大学院医学研究科 病態内科学講座・第二内科)
- 澤田 賢一(秋田大学医学部 第三内科)
- 河野 修興(広島大学大学院医歯薬学総合研究科 病態制御医科学講座 分子内科学)
- 平家 勇司(国立がんセンター研究所 薬効試験部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
57,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
SLEなどの難治性自己免疫疾患に対しては、一般に、Steroid、cyclophophamide(CY)、methotrexate等に加えて、近年、モノクローナル抗体など新規薬剤を用いた治療法が試みられ、その有効性は数段高まっている。しかし、一部の症例では生命および社会的予後は極めて不良である。このような難治例に対して、大量CY投与後自己移植を行うCD34純化自己末梢幹細胞移植術の有効性が報告されている。当研究班においてこの自家移植の有効性と安全性の評価を行った。同種移植が治癒を目指すには確実と考えられるが、その移植関連死亡率は許容できない。その高い毒性は主にレシピエントおよびドナーのTリンパ球に起因する。安全性を高める目的にてこれらのリンパ球を抑制するAlemtuzumabを移植前処置に用いた移植療法を開発する。ただしAlemtuzumabは未承認薬であり、医師主導臨床治験を計画した。
研究方法
全身性強皮症(SSc)13例、ウエゲナー肉芽腫1例、皮膚筋炎1例に対して、自家移植を行った。末梢血幹細胞採取は(CY) 2g/m2 x 2日間+G-CSFで行い、CD34陽性細胞分離はCliniMACSによる自動分離システムで行い、移植前処置は、CY 50mg/kg x 4日間とした。Alemtuzumabの臨床治験では、対象をやや重症、重症または最重症再生不良性貧血の症例とし、ドナーはHLA一致もしくは一座不一致血縁者およびHLA一致非血縁者とした。移植前治療はAlemtuzumab、Fludarabine、CYとした。
結果と考察
自己造血幹細胞移植については皮膚病変をもったSSc症例13例中12例でmRodnan TSSにおいて25%以上の改善が見られた。間質性肺炎については、PaO2は評価可能6例全例において移植3ヶ月後、12ヶ月後で有意に上昇していた。Alemtuzumabの医師主導型臨床治験については、2004年9月からSOPおよび治験実施計画書の各施設IRBでの審査が開始され、11月5日治験届けを提出、12月4日症例登録を開始した。
結論
自己免疫疾患に対する自家移植の有効性と安全性を検証した。より安全な同種移植法を導入するために、Alemtuzumabの医師主導型臨床治験を計画し、既に症例登録を開始した。
公開日・更新日
公開日
2005-05-12
更新日
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