日本発の新しい抗パーキンソン作用薬ゾニサミドの臨床研究

文献情報

文献番号
200400792A
報告書区分
総括
研究課題名
日本発の新しい抗パーキンソン作用薬ゾニサミドの臨床研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
村田 美穂(国立精神・神経センター武蔵病院)
研究分担者(所属機関)
  • 浅沼 幹人(岡山大学大学院医歯学総合研究科)
  • 近藤 智善(和歌山県立医科大学医学部)
  • 戸田 達史(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 南部 篤(自然科学研究機構生理学研究所)
  • 野元 正弘(愛媛大学医学部)
  • 長谷川 一子(国立病院機構相模原病院)
  • 服部 信孝(順天堂大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
29,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
主任研究者らが抗パーキンソン効果を発見したゾニサミド(ZNS)の臨床効果の確認とその作用機序の解明、神経保護作用の評価とその作用機序の解明、パーキンソン病(PD)類縁疾患への効果の探索、これらを基に新規抗PD薬開発を目的としている。
研究方法
大規模二重盲検試験および自主研究による長期使用効果をUPDRS等で評価し、臨床効果を確認する。ラットを用いてmicrodialysis法によりZNSによるL-dopa投与後のドパミン代謝の変化、またPDモデルサルを用いて、皮質刺激後の淡蒼球の神経活動の変化よりZNSの作用機序を検討した。PDモデルマウスを用い、in vivo でZNSのキノン体毒性に対する神経保護効果を、さらにMAOB活性を持たない培養細胞系を用いて、ZNSの神経保護作用を検討した。
結果と考察
大規模二重盲検試験ではわが国で使用可能な薬剤を用いてなお治療困難な患者を対象に行われ、UPDRS IIIとwearing-offについて有意な改善を認め、この効果はMAOB阻害剤併用の有無に影響されていなかった。同様の患者を対象とした3-5年の小規模の長期投与にても明らかな有用性が持続することを確認した。また、本態性振戦、restless leg症候群など類縁疾患に対する効果を確認した。作用機序についてはドパミン合成亢進作用をもつこと、ドパミン各受容体等に親和性のないことは昨年報告したが、さらに線条体でのドパミン取り込み阻害and/orドパミン代謝抑制作用があることを見出した。PDモデルサルにおいてもZNSはL-dopaの作用を増強する形で線条体を作用点として作用することを見出した。ZNSはL-dopa投与による障害線条体でのキノプロテイン増加を完全に抑制することを明らかにした。また、MAOB阻害作用と無関係に神経保護作用をもつことを明らかにした。
結論
ZNSは長期的にも短期的にも、現在使用できる薬剤でコントロール困難なPD症例にも明らかな効果を示すことを確認した。作用機序としてはドパミン合成亢進、ドパミン代謝抑制、再取り込み阻害などを認め、ドパミン受容体には親和性がなく、MAOB阻害作用ももつがこれは主体ではなく、既存の抗PD薬とは異なる作用機序で作用している。ZNSが神経細胞死の実行分子であるドパミンキノン体除去作用をもつことは、現在のPD治療の指針にもかかわる大きな発見である。

公開日・更新日

公開日
2005-08-04
更新日
-