骨髄異形成症候群に対する画期的治療法に関する研究

文献情報

文献番号
200400791A
報告書区分
総括
研究課題名
骨髄異形成症候群に対する画期的治療法に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
三谷 絹子(獨協医科大学内科学(血液))
研究分担者(所属機関)
  • 内山 卓(京都大学医学部)
  • 直江 知樹(名古屋大学医学部)
  • 大屋敷一馬(東京医科大学)
  • 寺村 正尚(東京女子医科大学)
  • 稲葉 俊哉(広島大学原爆放射線医科学研究所)
  • 小川 誠司(東京大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
32,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は骨髄異形成症候群(MDS)の病態解明とこれに基づく画期的治療法の開発を目的とする。
研究方法
(1) ゲノム・蛋白レベルでのMDS原因遺伝子の網羅的探索
Human 1Mアレイおよび長鎖PCR支援マイクロアレイを用いてゲノム解析を行った。一方、好中球を用いたプロテオーム解析を施行した。
(2) 特異的遺伝子異常の解析
AML1遺伝子変異との協調的遺伝子変異の同定とTEL/Sykの下流シグナルの解析を行った。
(3)MDSモデルマウスを用いた分子標的療法の有効性の検討
AML1関連キメラを保有する白血病細胞株をNOD/SCIDマウスに接種することにより病期進展MDSモデルマウスを作製し、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の有効性について検討した。
(4)画期的治療法の開発
治療研究「低リスクMDSに対するシクロスポリン療法」の治療成績をまとめ、「低リスクMDSに対するビタミンK2療法」を施行した。
結果と考察
(1) ゲノム・蛋白レベルでのMDS原因遺伝子の網羅的探索
MDSゲノムに特徴的な多数の微小な欠失や増幅を同定するとともに、7q-の候補遺伝子TITANを単離した。プロテオーム解析では、MDS特異的に高発現している蛋白CapGおよびThiol-specific antioxident protein 等を同定した。
(2) 特異的遺伝子異常の解析
AML1遺伝子の点突然変異陽性例の15%にSHP2遺伝子の変異を認めた。また、TEL/Sykの下流ではSTAT5、MAPキナーゼおよびPI3キナーゼのシグナルが恒常的に活性化されていた。
(3)MDSモデルマウスを用いた分子標的療法の有効性の検討
モデルマウスの生存はTrichostatin Aの投与により延長する可能性が示唆された。
(4)画期的治療法の開発
不応性貧血17例中10例でシクロスポリンの効果が認められ、末梢血でのPNH型血球の存在と造血回復の間に有意な関連を認めた。また、ビタミンK2の経口投与により20例中4例で血球減少の改善が観察された。
結論
MDSの病態に関与する候補分子を同定した。また、MDSモデルマウスが作製され、これは治療開発に有用であると考えられた。治療開発研究としては、国際的にも新規の「低リスクMDSに対するシクロスポリン療法」の臨床試験の成果がまとめられた。

公開日・更新日

公開日
2005-04-26
更新日
-