文献情報
文献番号
200400790A
報告書区分
総括
研究課題名
骨髄幹細胞移植による難治性血管炎への血管再生医療に関する多施設共同研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
池田 宇一(信州大学大学院医学研究科臓器発生制御医学講座)
研究分担者(所属機関)
- 松原 弘明(京都府立医科大学大学院医学研究科循環器病態制御学)
- 室原 豊明(名古屋大学大学院医学研究科器官制御内科学)
- 蓑田 清次(自治医科大学医学部アレルギー膠原病学)
- 天野 純(信州大学医学部心臓血管外科学)
- 高橋 将文(信州大学大学院医学研究科臓器発生制御医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
23,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
難治性血管炎は、特定疾患の一つに指定されており、従来の治療法が無効で指趾切断に至る症例も少なくない.申請者らは、骨髄細胞移植療法が閉塞性動脈硬化症(ASO)やバージャー病による重症虚血肢に有効であることを明らかとしてきた.そこで、本研究では、臨床試験により難治性血管炎患者に対する自己骨髄細胞移植による血管再生療法の有効性と安全性を検証し、また、基礎的研究による作用機序の解明とより侵襲の少ない新たな治療法を開発することを目的とした.
研究方法
(1)多施設臨床試験:班員施設での血管再生療法の実施症例を集計してそれらの臨床経過および長期予後、有害事象についての解析を行った.評価項目として、疼痛レベル、上下肢血圧比、潰瘍直径、歩行距離などについて検討した.
(2)基礎的研究:下肢虚血および血管傷害動物モデルを作製して、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)やエリスロポエチン(EPO)、アンジオポエチン-1(Ang-1)による骨髄幹細胞動員や血管新生作用等について検討した.
(2)基礎的研究:下肢虚血および血管傷害動物モデルを作製して、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)やエリスロポエチン(EPO)、アンジオポエチン-1(Ang-1)による骨髄幹細胞動員や血管新生作用等について検討した.
結果と考察
(1)多施設臨床試験:平成16年度の班員施設症例(ASO 16例、バージャー病7例、強皮症3例、混合性結合組織病(MCTD)2例、CREST 1例、膠原病(診断名未確定)1例)および本邦14施設を含めた臨床成績(TACT-1)の集計症例(ASO 125例、バージャー病65例)について解析を行い、移植後に上記の評価指標は有意に改善するが、その有効性は時間経過とともに低下する傾向があることを明らかとした.また、班員施設での膠原病症例では、7例中3例で臨床症状と他覚所見の改善を認めた.
(2)基礎的研究:G-CSF、EPOによる血管内皮前駆細胞の末梢血中への動員と血管新生作用、血管修復作用が示された.一方、Ang-1遺伝子導入では、骨髄幹細胞移植との併用により著明な血管新生効果を認めた.
(2)基礎的研究:G-CSF、EPOによる血管内皮前駆細胞の末梢血中への動員と血管新生作用、血管修復作用が示された.一方、Ang-1遺伝子導入では、骨髄幹細胞移植との併用により著明な血管新生効果を認めた.
結論
バージャー病における骨髄幹細胞移植による血管新生療法の有効性と安全性が示されたが、その有効性は時間経過とともに低下する傾向にあった.また、膠原病における本治療法の効果については症例数が少なく、引き続き検討が必要である.また、G-CSFやEPO投与による骨髄幹細胞動員療法やAng-1投与と骨髄幹細胞との併用効果の検討により、患者負担のより少ない新たな血管新生療法の可能性が示された.
公開日・更新日
公開日
2005-07-11
更新日
-