文献情報
文献番号
200400787A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性重症型表皮水疱症の画期的治療法の開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
清水 宏(北海道大学大学院医学研究科皮膚科学分野)
研究分担者(所属機関)
- 澤村 大輔(北海道大学大学医学研究科皮膚科学分野)
- 古市 泰宏(㈱ジーンケア研究所(遺伝情報学))
- 阿部 理一郎(北海道大学・北海道大学病院・皮膚科)
- 秋山 真志(北海道大学・北海道大学病院・皮膚科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の対象疾患は軽微な外力により皮膚に容易に水疱や潰瘍を生じ、患者のQOLが著しく障害される重症型表皮水疱症である。本研究の目的は、1)早期に臨床応用可能な合成Ⅶ型コラーゲン蛋白を補充するという新しい発想に基づく治療法を実現し、2)さらに骨髄移植を行い移植された骨髄幹細胞より分化した皮膚細胞からⅦ型コラーゲンを供給させるという新しい観点から再生治療も検討することにある。
研究方法
1)293細胞にⅦ型コラーゲン遺伝子を導入し、上清に分泌されるリコンビナント型コラーゲンを精製した。その蛋白を用いて、皮膚細胞の遊走能への効果を測定した。2)レトロウィルスを用いて、Ⅶ型コラーゲンの遺伝子導入法を検討した。2種類の優性栄養障害型の変異をin vitro mutagenesisの技術にて導入した。3)表皮構造タンパク欠損マウス(VII型コラーゲンノックアウトマウス)に正常マウスから骨髄移植を行うことで、ドナー骨髄由来の表皮細胞が出現するかを確認した。
結果と考察
1)合成Ⅶ型コラーゲンの添加より、著明に表皮細胞と線維芽細胞の遊走が有意に上昇することが確かめられた。これらの実験は、合成Ⅶ型コラーゲンが本来の機能を兼ね備えたリコンビナント蛋白であることも示し、劣性栄養障害型表皮水疱症患者はもちろん、難治性潰瘍の治療剤としての可能性も示唆された。2)レトロウィルス法において、レトロネクチンやVSVーGエンベロープ遺伝子を導入することにより、効率を上げることができた。さらに、変異を持つVII型コラーゲン遺伝子を導入することにより、優性栄養障害型の変異がドミナントネガティブ効果に加え、変異VII型コラーゲンの構造異常による影響もあることを示唆した。3)骨髄幹細胞から表皮細胞への分化に関する研究:本年度の研究で、実際に骨髄由来表皮細胞の存在を確認した。また培養系において、末梢血細胞から表皮細胞に分化しうることを明らかにした。
結論
今回の研究で新たに表皮水疱症の臨床型と遺伝子型の関連をさらに明らかにできた。また、VII型コラーゲンの補充療法の有用性を培養細胞と実験動物で確認した。さらに表皮水疱症への骨髄移植療法の可能性が示唆された。
公開日・更新日
公開日
2005-07-27
更新日
-