難治性皮膚疾患(重症多形滲出性紅斑(急性期)を含む)の画期的治療法に関する研究

文献情報

文献番号
200400786A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性皮膚疾患(重症多形滲出性紅斑(急性期)を含む)の画期的治療法に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 公二(愛媛大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 玉井 克人(大阪大学医学部)
  • 岡野 栄之(慶応義塾大学医学部)
  • 飯島 正文(昭和大学医学部)
  • 池澤 善郎(横浜市立大学医学部)
  • 塩原 哲夫(杏林大学医学部)
  • 大橋 裕一(愛媛大学医学部)
  • 相原 雄幸(横浜市立大学附属市民総合医療センター)
  • 岸本 治郎(資生堂ライフサイエンス研究センター)
  • 白方 裕司(愛媛大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
42,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は難治性皮膚疾患に対する画期的治療法の確立である。①付属器を備えた培養皮膚の開発、②栄養障害型先天性表皮水疱症に対しては培養皮膚を用いた治療法、遺伝子治療法の開発、③重症多形滲出性紅斑(急性期)については診断基準、重症度基準の整備と、画期的治療法の開発を行う。
研究方法
下腿潰瘍の患者に三次元培養皮膚移植を行い、その生着率について計算した。GFP骨髄移植マウス背部皮膚に創傷を作製し、その治癒過程および治癒後の皮膚におけるGFP陽性細胞出現の有無、及びその局在を検討した。マウス毛乳頭細胞濃縮画分及びヒト包皮由来上皮細胞を調製し、ヌードマウス背部皮膚移植し、毛髪形成の有無の観察を行った。ヒト表皮角化細胞を継代を繰り返し、SP細胞の比率を解析した。重症多形滲出性紅斑(急性期)の診断基準案の見直しを行った。小児重症多形滲出紅斑(急性期)の病態文献を基に解析を行った。角膜上皮細胞に特異的に発現している遺伝子を検索し、角膜上皮細胞の無血清培養法を検討した。
結果と考察
三次元培養皮膚は生着性が高いことが明らかとなった。創傷刺激により骨髄細胞が表皮細胞を供給しうることが明かとなった。骨髄中に存在する表皮幹細胞の前駆細胞を単離し、培養することが可能になれば、これに治療用遺伝子を導入することにより再生遺伝子治療が可能になる。角化細胞の幹細胞は継代により少なくなるため、最適な培養法の改善が必要である。毛乳頭細胞と角化細胞を混合でマウスに移植することにより毛包類似構造体の形成が認められた。培養条件などを詳細に改善することにより、成熟毛包の再生が期待できると思われる。重症多形滲出性紅斑診断基準案2004を作成した。本年度の研究で、小児と成人でその原因に関して明らかに差があることが明らかとなった。この成果は今後の診断基準、治療指針、重症度判定に有用であると思われる。
結論
本研究により重症多形滲出性紅斑診断基準案2004を作成し、診断指針の確立が可能となった。難治性皮膚疾患に対する画期的治療法として、三次元培養皮膚の有用性を示し、それをさらに発展するための幹細胞の分離・維持の必要性、さらには骨髄細胞が表皮細胞の供給源として機能することが明らかとなった。今後表皮細胞に分化しうる骨髄細胞分画の同定と培養法の確立、表皮細胞への分化誘導法の確立とそれに係わる分子機構の解明、さらには骨髄由来表皮幹細胞への安全かつ安定的遺伝子導入法の確立が望まれる。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-