摂食障害の診療体制整備に関する研究

文献情報

文献番号
201516024A
報告書区分
総括
研究課題
摂食障害の診療体制整備に関する研究
課題番号
H26-精神-一般-001
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
安藤 哲也(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所心身医学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 石川 俊男(国立国際医療研究センター 国府台病院心療内科)
  • 西園 マーハ 文(白梅学園大学 子ども学部発達臨床学科)
  • 吉内 一浩(東京大学医学部付属病院 心療内科)
  • 須藤 信行(九州大学大学院 医学研究院心身医学)
  • 福土 審(東北大学大学院 医学系研究科行動医学分野)
  • 森 則夫(浜松医科大学付属病院 精神科神経科)
  • 宮岡 等(北里大学 医学部精神科学)
  • 井上 幸紀(大阪市立大学大学院 医学研究科神経精神医学)
  • 中里 道子(千葉大学大学院 医学研究院子どものこころの発達研究センター)
  • 和田 良久(京都府立医科大学大学院 医学研究科精神機能病態学)
  • 生野 照子(社会医療法人弘道会なにわ生野病院 心療内科)
  • 作田 亮一(獨協医科大学 医学部)
  • 高宮 静男(西神戸医療センター 精神・神経科)
  • 鈴木 眞理 (堀田 眞理)(政策研究大学院大学 保健管理センター)
  • 甲村 弘子(大阪樟蔭女子大学 児童学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了年度
平成28(2016)年度
研究費
15,385,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
摂食障害(摂食障害)患者がその病態・病期・背景に応じて必要な診療や支援を受けられるよう、全国の患者および診療の実態を調査し、整備すべき診療・支援ネットワーク体制や、診療体制を明確化し指針を作成すること、整備の為の課題を明確にし、施策の提言を行うこと、保健師等のための対応マニュアルを作成することである。
研究方法
3年間の計画では①医療機関を対象に患者の実態調査を実施する。②各分担研究者が、総合病院、心療内科、精神科、小児科、プライマリー・救急、地域連携と支援、早期発見・介入、経済的課題、保健師マニュアル作成等を分担してワーキンググループを組織し、チーム医療による診療体制、他施設との連携の現状、整備上の課題を把握し、現状把握、エビデンス吟味、エクスパートパネルによる指針案の作成・評価を行い完成させる。2年目の主要な目標は実態把握のための調査のまとめと全国疫学患者数調査の実施、指針案の作成であった。
結果と考察
(ED:摂食障害、AN:神経性やせ症、BN:神経性過食症、BED:過食性障害、OSFED:他の特定される食行動障害または摂食障害)
ア)実態調査・現状把握:全国の病院の精神科、心療内科、内科、小児科、産婦人科から層化抽出した5225施設を対象に2014年10月から1年間のEDの受診患者数を調査した。これまでに2601施設(回収率49.8%)から回収した。中間解析で受診患者数の推計値は、AN12,207人、BN3,888、BED994、OSFED3,046、分類不能5,819であった。全診断を合算すると25,954人であった。全国の保健所、市町村保健センター3071カ所を対象に相談実態や地域医療施設との連携を調査し1292箇所(42.1%)から回答を得た。4年10か月に3084事例の相談があった。罹病期間1年未満10.6%、5年以上20.1%、 10年以上21.9%と慢性例が多かった。医療機関受診中39.6%、治療中断29.8%、未受診19.2%で、約4割が医療機関につながっていなかった。4県で小、中、高校の養護教諭3679名を対象に学校でのEDへの対応や地域連携の実態を調査し1886名(51.3%)から回答を得た。EDを疑われる生徒は3年間で1620人発見された。EDの発見にはEDの知識が重要であった。学校では医療との連携に課題を抱えていた。全国の総合病院463機関、1895診療科に診療体制、受診状況、医療連携、診療上の困難さを調査し470診療科(24.8 %)から回答を得た。精神科、心療内科の42.8%はED診療に消極的であった。診療困難要因は精神科や心療内科では「人的資源の不足」、内科や救急救命科では「専門的知識」、「患者本人の治療拒否」が多かった。千葉県内精神科クリニック・病院等265施設にED診療ネットワークのアンケートを実施し101施設(39.1%)から回答を得た。症例を引き受ける基幹病院があればネットワークを構築しうることが示唆された。摂食障害治療施設に協力依頼し217施設からなる「相談できる施設リスト」を作成した。EDの医療経済的課題を調べるため大学病院心療内科3施設、精神科3施設通院中のED患者を対象に調査票や、レセプトやカルテ等の調査を開始した。
イ)治療プログラムの開発:ANの入院治療経験を有する精神科有床総合病院3施設と有しない単科精神科病院3施設にAN身体治療プログラムの研修会を実施し、その効果を検証した。これまでANの入院実績のなかった1病院で新たに入院ができるようになった。また、AN入院治療クリニカルパスを作成し臨床での運用を開始した。
ウ)指針作成:養護教諭・大学保健管理センターを対象にED患者を早期に発見、援助し医療機関と連携するためのゲートキーパーマニュアル(仮称)作成を開始した。重要課題を設定し、クリニカルクエスチョンを作成し、デルファイ法によるエクスパートコンセンサス形成を開始した。また、精神科、内科、小児科のための初期対応指針の作成に着手した。
全国の診療施設の患者数調査は1998年以来実施されていない。今回の調査で最近の患者動向が明らかになる。保健所・保健センターや学校での調査により地域で相談実態が明らかになった。わが国でEDについて保健師への調査は過去にない。学校での養護教員による摂食障害患者の発見実態や関連する要因も初めて示された。EDの診療点数や診療時間など医療者側の労力や診療報酬の調査は稀である。
結論
全国患者数調査、保健所・保健センター、学校(養護教員)、総合病院、地域医療機関を対象にした実態調査などを終了し結果をまとめた。結果は最終年のED診療体制とネットワーク指針・ガイドライン、提言の作成ための基礎資料となる。

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201516024Z

収入

(1)補助金交付額
20,000,000円
(2)補助金確定額
20,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,083,098円
人件費・謝金 2,017,103円
旅費 3,112,760円
その他 7,172,039円
間接経費 4,615,000円
合計 20,000,000円

備考

備考
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