中枢性摂食異常症に関する調査研究

文献情報

文献番号
200400809B
報告書区分
総合
研究課題
中枢性摂食異常症に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
芝崎 保(日本医科大学生理学第二)
研究分担者(所属機関)
  • 桜井 武(筑波大学基礎医学系薬理学)
  • 久保木 富房(東京大学大学院医学系研究科ストレス防御・心身医学)
  • 鈴木 眞理(政策研究大学院大学保健管理センター)
  • 小川 佳宏(東京医科歯科大学難治疾患研究所分子代謝医学分野)
  • 中尾 一和(京都大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科学)
  • 中井 義勝(京都大学医学部保健学科)
  • 寒川 賢治(国立循環器病センター研究所生化学部)
  • 久保 千春(九州大学大学院医学研究院心身医学)
  • 児島 将康(久留米大学分子生命科学研究所遺伝情報研究部門)
  • 坂田 利家(中村学園大学大学院栄養科学研究科)
  • 吉松 博信(大分大学医学部生体分子構造機能制御講座・第一内科)
  • 野添 新一(志學館大学人間関係学部心理臨床学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国の中枢性摂食異常症の患者数は増加すると共に発症の低年齢化が進んでいる。このような背景のもとに、中枢性摂食異常症の病因、病態を解明し、有効な治療及び予防法を開発する。
研究方法
基礎的研究として摂食調節物質およびその受容体の遺伝子改変動物を作成し中枢性摂食調節機構の解析を、臨床的研究として神経性食欲不振症の病態解析、治療法の開発、女子中・高・大学生を対象とした疫学調査を行った。臨床的研究はその意義を説明し同意を得た上で、実験動物研究は実験動物飼育及び保管に関する基準に基づき、それぞれ、各研究施設における規定に従って行った。
結果と考察
《基礎的研究》 摂食調節物質とその受容体の遺伝子改変動物を用いた研究等から、グレリン、オレキシン、ニューロメデインU、アンジオテンシンII、レプチン、長鎖脂肪酸、神経ヒスタミン、corticotropin releasing factor (CRF)などの摂食調節機構における役割の詳細が明らかになった。中枢性摂食異常症における睡眠・覚醒異常に神経ヒスタミン系が関与している可能性、神経性食欲不振症の不食にCRFの1型受容体と2型受容体が関与している可能性、神経性食欲不振症の殆どが女性である機序への女性ホルモンの関与の可能性が示された。
《臨床的研究》 中枢性摂食異常症における不整脈の危険性、グレリン分泌異常、無月経について解析した。神経性食欲不振症の後遺症である低身長はBMIが16以下の低体重期間の遷延化によりもたらされること、神経性食欲不振症の合併症の骨粗鬆症に対しビタミンK2、活性型ビタミンD3、ビスフォスフォネートが有効であることが明らかにされた。食欲亢進作用を示すグレリンの神経性食欲不振症の治療薬としての応用を図る目的で食欲不振症患者への投与試験が開始された。20、10年前に比べ、若年女性の痩せ願望、食行動異常、中枢性摂食異常症が著しく増加している事実が明らかになった。
結論
中枢性摂食調節機構の詳細が明らかになり、グレリンが神経性食欲不振症の治療薬になり得る可能性が示された。神経性食欲不振症の重大な合併症である骨粗鬆症にビタミンK2、活性型ビタミンD3、ビスフォスフォネートが有効であること、発症の低年齢化に伴いBMIが16以下の低体重期間の遷延化が低身長をもたらすこと、疫学調査で中枢性摂食異常症が増加していることが明らかになった。