概要版

文献情報

文献番号 200725010A
報告書区分 総括
研究課題 感音難聴に対する内耳薬物投与システム臨床応用に関する研究
課題番号 H18-感覚器-一般-007
研究年度 平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関) 中川 隆之(京都大学医学部附属病院) 
研究分担者(所属機関) 伊藤 壽一(京都大学大学院医学研究科)、三浦 誠(京都大学大学院医学研究科)、坂本 達則(京都大学医学部附属病院)、平海 晴一(京都大学医学部附属病院)、羽藤 直人(愛媛大学医学部)、暁  清文(愛媛大学医学部)、田畑 泰彦(京都大学再生医科学研究所)、熊川 孝三(虎の門病院)、福島 雅典(京都大学医学部附属病院探索医療センター)、内藤  泰(神戸市立中央市民病院) 
研究区分 厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
開始年度 平成18(2006)年度
終了予定年度 平成20(2008)年度
研究費 12,000,000円
研究者交替、所属機関変更  

研究報告書(概要版)

概要版 研究目的:
本研究は、われわれが開発した生体吸収性徐放ゲルを用いた内耳薬物投与システムを感音難聴治療に臨床応用することを目的とした研究開発を行うものである。感音難聴症例に対する臨床研究を開始するために必要な基礎的研究を行い、本治療法の臨床的な有効性を検証することが目的となる。
研究方法:
ヒト側頭骨を用いた研究により、低侵襲な経外耳道的正円窓窩へのアプローチ方法の開発を行った。生体吸収性徐放ゲルによるIGF1内耳局所投与による急性高度難聴治療臨床試験のヒストリカルコントロール作成を目的とし、急性高度難聴における2次治療としての高気圧酸素療法の有効性に関する後ろ向き研究を行った。急性高度難聴の病態における内耳虚血の関与を明確にするために、突発性難聴症例に対する3D-MRAを用いた前下小脳動脈の形態異常に関する臨床的検討を行った。これらの解析結果に立脚し、生体吸収性徐放ゲルによるIGF1内耳局所投与による急性高度難聴治療第T−U相臨床試験プロトコルを作成、倫理委員会の承認を経て、症例登録を開始した。さらに、本治療法の適応拡大を目的とした動物実験として、肝細胞増殖因子(HGF)に関する検討、ラット聴神経の物理的圧迫モデル研究、γセクレターゼ阻害薬による有毛細胞再生研究を行った。
結果と考察:
ヒト側頭骨の解析から、経外耳道経超細径内視鏡での正円窓窩へのアプローチ方法の有効性が明らかとなり、経外耳道経顕微鏡アプローチを用いた場合に求められる条件が判明した。急性高度難聴における2次治療としての高気圧酸素療法は、1984年厚生省研究班報告による突発性難聴・聴力回復の判定基準による効果判定で回復以上を有効とした場合の有効率は、33%であった。これに基づき、目標症例数を25例とした生体吸収性徐放ゲルによるIGF1内耳局所投与による急性高度難聴治療第T−U相臨床試験プロトコルを作成、倫理委員会承認を受け、6例の登録を行い、プロトコル治療を行った。3D−MRAによる臨床研究から、突発性難聴症例に有意に前下小脳動脈の形態異常が高率に認められることが分かった。基礎的研究から、生体吸収性徐放ゲルによりHGFの内耳投与に治療的効果が期待できること、内耳薬物投与による有毛細胞再生が可能であることが示唆された。
結論:
生体吸収性徐放ゲルによるIGF1内耳局所投与による急性高度難聴治療臨床試験プロトコルを作成し、倫理委員会承認をへて、症例登録を開始した。基礎的研究成果から、本治療法の適応拡大に向けた基盤技術が開発できた。
公開日 2008年06月25日

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