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文献情報

文献番号 201438086A
報告書区分 総括
研究課題 眼部希少がんの発生・多様性獲得機構の「鍵となる」分子・分子経路の特定と、二次がん発生のサーベイランス体制の確立
課題番号  
研究年度 平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関) 鈴木 茂伸(国立がん研究センター中央病院 眼腫瘍科) 
研究分担者(所属機関) 森 泰昌(国立がん研究センター中央病院 病理科)、吉田 輝彦(国立がん研究センター研究所 遺伝医学研究分野)、坂本 裕美(国立がん研究センター研究所 遺伝医学研究分野)、芝田 晋介(慶應義塾大学医学部生理学教室)、吉本 世一(国立がん研究センター中央病院 頭頸部腫瘍科)、松本 文彦(国立がん研究センター中央病院 頭頸部腫瘍科)、辻 英貴(がん研究会有明病院 眼科) 
研究区分 厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 革新的がん医療実用化研究
開始年度 平成26(2014)年度
終了予定年度 平成26(2014)年度
研究費 30,770,000円
研究者交替、所属機関変更  

研究報告書(概要版)

概要版 研究目的:
眼腫瘍は希少がんであるため基盤となる分子病理学的・臨床疫学的研究がなされていない。発病の「鍵となる」分子・分子経路を解析し基盤データを作成し、これを用いて治療法を開発することにより、治癒率の著明な改善ならびに、早期発見のための検査の適正化を行うことが本研究の主目的である。 代表疾患である網膜芽細胞腫に関しては再発・転移に加え二次がん発症が予後規定因子であるが、原疾患の予後改善に伴い二次がんと再発の鑑別が困難である症例が増加している。二次がんと再発の鑑別は治療方針決定に重要であり、分子経路の解明により革新的な鑑別診断法、更には分子標的治療に繋げることも目的である。
研究方法:
眼腫瘍ならびにその二次がんの既提供試料及び新規試料を解析対象として用いる。 いずれの試料も診療後余剰検体を用い、生検標本・手術標本(凍結保存あるいはパラフィン包埋された組織)、病理診断報告書を含む診療情報等の提供を受ける。解析予定検体数は、後ろ向き症例200例、前向き症例60例程度を予定する。背景要因・がんの臨床病理学的特性、治療等に応じて群分けして解析する。評価方法としては、組織マイクロアレイ作製と免疫組織化学染色、in-situ hybridization、ゲノム系解析を行う。さらに前向き試料を用いた細胞表面蛋白質発現解析とマウス眼発生における蛋白質発現解析から、新規診断マーカー候補を探索する。これらの情報を統合し基盤となる眼腫瘍データベースを作成する。 二次がんについては、既に確保している20症例を含め、過去40年の追跡調査により再発・二次がんの有無、治療の内容、フォローアップ体制の現状について臨床疫学的調査を行う。
結果と考察:
・腫瘍検体収集・臨床情報収集・解析方法の検討 過去7年の眼内腫瘍について臨床情報、病理学的評価を行った。網膜芽細胞腫について、80症例の病理組織を用いたTissue Micro Arrayを作成した。前向き試料として眼内腫瘍21例を収集し、病理学的検討並びにDNA抽出を行った。長期保管ホルマリン固定パラフィン材料からのDNA抽出について、従来法と超音波を用いた方法の比較検討を行い、超音波法が約20倍のPCR増幅効果を示すことを確認した。本年度収集した検体を、本年度検討した解析技術を用いて次年度以降に実際の解析を行う計画である。 ・毛様体腫瘍の病理学的な疾患概念確立 具体例として、毛様体上皮腫瘍と悪性黒色腫の鑑別を試みた。SOX10の発現を見ることにより両者を鑑別可能であり、既知の悪性黒色腫マーカー、BRAF変異などに比し有用であることが判明した。分子経路解明による革新的な鑑別診断、更には分子標的治療の可能性が示唆された。 ・遺伝子解析に関わる技術開発 ゲノム解析を行う上で、コピー数異常の解析法の確立が必要であり、解析パイプラインの検討・至適化を進めた。解析の目的に応じて適切な解像度を設定することで安定したデータの得られることが示唆された。 ・新規マーカーに関する研究 遺伝子マウスを用いて各発生段階の眼のサンプルの膜蛋白発現分子を解析した。SOX10が胎生期の眼の原基であるoptic cupに強発現しており、眼組織のマーカーとしての有用性が示唆された。眼部希少癌でもSOX10が発現しており、有用な診断・治療マーカーになりうると考えている。 ・二次がんの検討 過去40年の網膜芽細胞腫を調査し、33例38腫瘍が二次がんとして発症していた。骨肉腫が最多であるが、既報ではまれである横紋筋肉腫が多く生じている結果であった。病理学的な再検討を行うとともに、遺伝子発現解析を行うことで、二次がんと再発の鑑別を追加検討する必要がある。 ・眼周囲発生固形腫瘍に関する研究 頭頸部扁平上皮癌において、放射線治療における抗EGFR抗体の放射線増感作用が確認された。今後、他の癌腫についても検討を行うことにより適応を確立すること、上記で作成された眼腫瘍データベースから有用なマーカーが同定されれた場合、同様の検討を行う予定である。
結論:
研究初年度であり、過去検体並びに新規検体の収集、DNA抽出技術の開発、DNA解析技術の至適化、臨床情報の収集、SOX10の新規マーカーとしての有用性の検討を行った。これらを用い、次年度以降に本格的な解析を行う方針である。
公開日 2015年09月14日
研究報告書
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公開日・更新日

公開日 2016年05月13日
更新日 -

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公開日 2015年09月14日
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