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文献情報

文献番号 201420047A
報告書区分 総括
研究課題 社会情勢の変化を踏まえた我が国における狂犬病対策のあり方に関する研究
課題番号 H25-新興-指定-004
研究年度 平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関) 山田 章雄(国立大学法人東京大学 大学院農学生命科学研究科獣医学専攻獣医公衆衛生学研究室) 
研究分担者(所属機関) 杉浦 勝明(国立大学法人東京大学 大学院農学生命科学研究科農学国際専攻国際動物資源科学研究室)、蒔田 浩平(酪農学園大学大学院獣医学研究科獣医疫学)、杉山 誠(岐阜大学応用生物科学部共同獣医学科人獣共通感染症学研究室) 
研究区分 厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
開始年度 平成25(2013)年度
終了予定年度 平成27(2015)年度
研究費 3,413,000円
研究者交替、所属機関変更  

研究報告書(概要版)

概要版 研究目的:
わが国の過去における対策の検証、現行の対策による狂犬病侵入リスクの評価とリスクを変動させる要因の同定、変動要因を変化させた場合におけるリスク評価を行う。同時にそれぞれのシナリオにおける費用対効果を算出し、我が国に最も適した狂犬病対策の在り方を科学的に検討することを目的とする。
研究方法:
英国獣医研究所にて用いられたシミュレーションモデルを使用し、昨年度収集したデータに基づき侵入リスクを計算した。狂犬病の拡散リスクについては英国グラスゴー大学の協力のもと狂犬病拡散モデルフレームの構築を行いこのフレームに基づきリスクを計算した。わが国以外の狂犬病清浄国における狂犬病対策の実際を知るため今年度はフランスおよび台湾を訪問し関係諸機関からの情報収集を行った。
結果と考察:
わが国への狂犬病侵入リスクは、動物検疫所を通じての侵入は127360(5パーセンタイル34669, 95パーセンタイル318452)年に1回、米軍による輸入を通じて291823(133876, 540031)年に1回、全体では77254(30059, 151431)年に1回となる。コンプライアンスの水準がが100%から90%に下がると、年間侵入確率は90倍、80%に下がると169倍になることが明らかになった。侵入間隔で見た場合にはそれぞれ77254年から683年、362年と113分の1、213分の1になることが明らかとなった。拡散リスクに関しては北海道と茨城県にモデルを適用したところ、北海道ではワクチン接種率を55%、45%、35%に変動させた場合、狂犬病総発生数中央値は2頭、4頭、354頭と推定された。また、終息までの期間の中央値は53.5日、92.5日、339.5日と推定された。茨城県では、ワクチン接種率を55.6%、45.6%、35.6%に変動させた場合、狂犬病総発生数中央値は2頭、3頭、389頭となり、終息までの期間の中央値は35日、89.5日、397.5日と推定された。台湾では日本と同様に飼育犬への狂犬病予防接種を義務づけている。しかしその接種率は、イタチアナグマにおける狂犬病の流行が確認される前の時点で約20%と低かった。流行確認後は流行地域(山間部)で約90%、非流行地域の都市部でも約70%まで上昇したが、これは飼育犬への予防接種の促進と違反者への罰則強化が実施されたこと、流行地域の住民の危機意識の高さがその背景にあると考えられた。フランスでは北アフリカからの狂犬病の侵入リスクが高く、1~2年ごとに不法なペットの持ち込みによる狂犬病の発生が認められている。このような状況にあるフランスでの最も重要な対策は、侵入を早期に発見し、速やかな封じ込め対策を講じることである。平時におけるイヌネコへの狂犬病ワクチン接種は義務付けられていない。フランスにおいてはマイクロチップあるいはタトゥーによる個体識別が義務付けられているが、これは動物福祉の実践のために導入されている。
結論:
わが国への狂犬病侵入リスクを定量的に評価した結果、英国やハワイ島と比較しそのリスクは極めて低いことが明らかになった。平時におけるイヌに対するワクチン接種は万が一の侵入時の感染個体数の低減及び終息までの日数の低減に一定の効果があることが明らかになったが、高いワクチン接種率の元であっても侵入時に必要とされる対応に大きな差がない可能性が考えられた。日本以外の狂犬病清浄国の多くは機能する検疫制度と、早期発見・早期封じ込めを狂犬病対策の中心に据えており、特にフランスのように極めてリスクの高い国においてさえも、平時のイヌへのワクチン接種に依存していないことが明らかとなった。将来的にはわが国の狂犬病対策からイヌへのワクチン接種義務を見直すことが可能だと思われる。
公開日 2015年06月05日
研究報告書
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公開日・更新日

公開日 2016年01月22日
更新日 -

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