概要版

文献情報

文献番号 201315021A
報告書区分 総括
研究課題 温泉利用が健康づくりにもたらす総合的効果についてのエビデンスに関する研究
課題番号 H24-循環器等(生習)-一般-001
研究年度 平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関) 前田 豊樹(九州大学病院別府病院 大学病院) 
研究分担者(所属機関)   
研究区分 厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
開始年度 平成24(2012)年度
終了予定年度 平成26(2014)年度
研究費 1,924,000円
研究者交替、所属機関変更  

研究報告書(概要版)

概要版 研究目的:
本研究は温泉療法の医学的効果を疫学、臨床効果、基礎医学的検討と多面的に検証し、温泉治療の汎用性向上に向け、温泉の疾病の予防効果あるいは補助的治療効果の確認を目的としている。温泉の医療応用を研究することは世界的温泉地に立地する当院の使命であると考える。温泉には、以前より抗炎症、抗うつ、免疫増強、抗がんなどの作用があると報告がされてきた。温泉をすでに保険医療として行っているヨーロッパ諸国を範とし、高齢化が世界最速で進む本邦において、低コストで、安全性が高く、高齢者にも快適に利用できる温泉療法の具体的医療への取り込みは急務となってきていると考える。
研究方法:
温泉と健康アンケート調査:65歳以上の別府市民2万人に、温泉入浴状況と既往歴に関するアンケートを郵送して、有効回答11,058通を得た。温泉利用頻度、利用期間と各種疾患(がん、虚血性心疾患、脳卒中、不整脈、高血圧、痛風、気管支喘息、糖尿病、高脂血症、腎臓病、うつ病、慢性肝炎、膠原病、アレルギー性疾患)の既往率の相関を男女別に検討した。また、10種の利用泉質と既往歴との相関も検討した。 鉱泥浴の臨床効果:鉱泥浴治療による線維筋痛症患者の臨床経過とアンチエイジング指標テロメア関連パラメータの推移を確認する。臨床経過は血液検査で、またテロメア関連パラメータは末梢血サザンブロット法にて追跡する。   培養実験による温熱効果の検証:温熱効果確認の培養細胞実験はヒト臍帯静脈血管内皮細胞を用い37℃と42℃条件下でサザンブロット法によるテロメア長解析と、ウエスタンブロットによる各種テロメア関連蛋白、ヒートショック蛋白の他、アポトーシス関連蛋白の発現の推移を観察した。
結果と考察:
アンケート調査結果:男性の連日温泉入浴者(連日入浴者既往率:非連日入浴者既往率)では、脳卒中(3.0% : 4.2%)と腎臓病(3.8% : 5.4%)が少なく、女性の連日温泉入浴者では、虚血性心疾患(3.8% : 5.1%)、脳卒中(1.1% : 2.3%)、不整脈(6.7% : 8.4%)、気管支ぜんそく(2.9% : 4.6%)、うつ病(1.6% : 3.3%)が少なかった。このうち男性の腎疾患とは、女性の不整脈は、連日利用者の中でも、10年以下に比べて40年以上の利用者で少なかった。泉質分析では、温泉利用者中の4559名で利用泉質が判明しており、2659名は単純温泉の利用者であり、他の泉質の利用者が1900名であった。単純温泉の連日利用者では、不整脈と糖尿病が少なく、単純温泉以外の泉質利用者では、喘息、腎臓病、うつ病が少なかった。   鉱泥浴の治療効果:線維筋痛症に対する鉱泥浴治療は、鎮痛効果、うつ病スケールならびに栄養状態の改善を認めた。栄養状態は、アルブミン、貧血改善、筋肉量維持、コレステロール値回復、炎症反応抑制効果を認めた。  培養実験による温熱効果の検証:ヒト血管内皮細胞で培養温度42℃条件下では1~3日の間に、テロメア長の分布変化とテロメラーゼ春源上昇に加えて、種々のストレス抵抗性のタンパク質の発現上昇を確認した。  アンケート調査結果考察:連日温泉利用者全体では虚血性心疾患、脳卒中、高血圧、気管支喘息、糖尿病、腎臓病、うつ病が少なかった。各疾患について性差により温泉の効能が異なることが示唆された。男性の腎臓病や不整脈では長期利用者ではその既往が少なかく、長期利用により初めて効果が出る疾患があることが判った。さらに、温泉の泉質ごとに異なる疾患に効能があることも示唆された。  鉱泥浴の効果考察:鉱泥浴の栄養改善効果は、鉱泥浴治療開始前後で、食事摂取量に変化が認められないことから、消化管の消化吸収機能の改善を想定している。炎症反応(CRP)低下は、体深部血流増大による「洗い流し効果」によると推定される。  高温条件下培養細胞の変容考察:高温環境(42℃)下で示したヒートショック蛋白やテロメラーゼの発現以外にも細胞ストレスやアポトーシスに関連した蛋白の発現上昇が確認できた。温熱刺激は、短時間であれば、温熱に対抗するホルミシス効果としてのアンチエイジング効果を示すと考えられる。
結論:
温泉アンケート調査:連日温泉入浴は、男性で腎臓病の予防に、また女性で虚血性疾患、不整脈、気管支喘息、糖尿病、うつ病の予防に繋がる可能性がある。これらの効果は利用泉質により異なるようである。 鉱泥浴の医用効果:鉱泥浴には、鎮痛効果、栄養改善効果、ストレス緩和効果、抗炎症効果を認めた。 血管内皮細胞の比較的高温下培養:比較的高温下で示された血管内皮細胞の熱ストレスによるホルミシス効果候補としての細胞保護作用ならびにアンチエイジング作用は、今回のストレス抵抗性蛋白発現上昇の確認により裏付けられた。
公開日 2015年11月20日
研究報告書

ファイルリスト

公開日・更新日

公開日 2015年02月13日
更新日 -

ファイルリスト


表紙

表紙  [0.004MB]

目次

目次  [0.005MB]

総括研究報告書

報告書  [0.022MB]

研究成果の刊行に関する一覧表

研究成果  [0.016MB]

その他

図表  [7.366MB]

 

公開日・更新日

公開日 2015年09月07日
更新日 -
収支報告書

文献情報

文献番号 201315021Z

報告年月日

報告年月日 2014年10月21日
 

収入

(1)補助金交付額 2,500,000円
(2)補助金確定額 2,500,000円
差引額 [(1)-(2)] 0円
 

支出

研究費(内訳) 直接研究費 物品費 285,235円
人件費・謝金 1,478,423円
旅費 0円
その他 160,342円
間接経費 576,000円
合計 2,500,000円
 

備考

備考  
 

公開日・更新日

公開日 2015年10月13日

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