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文献情報

文献番号 201219005A
報告書区分 総括
研究課題 タンデムマス導入による新生児マススクリーニング体制の整備と質的向上に関する研究
課題番号 H22-次世代-一般-005
研究年度 平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関) 山口 清次(国立大学法人島根大学 医学部) 
研究分担者(所属機関) 重松 陽介(福井大学 医学部)、松原 洋一(東北大学大学院 医学系研究科)、大浦 敏博(東北大学大学院 医学系研究科)、宮崎 徹(東京大学大学院 医学系研究科)、原田 正平(国立成育医療研究センター研究所)、大日 康史(国立感染症研究所 感染症情報センター)、平原 史樹(横浜市立大学 医学研究科) 
研究区分 厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
開始年度 平成22(2010)年度
終了予定年度 平成24(2012)年度
研究費 12,963,000円
研究者交替、所属機関変更  

研究報告書(概要版)

概要版 研究目的:
 新生児マススクリーニング(新生児MS)へのタンデムマス導入が全国的に広がりつつある。タンデムマス導入による新生児MS体制の整備と質的向上を目的として、臨床的効果、整備すべき課題、効率的体制の構築等について検討した。
研究方法:
 (A)臨床効果および効率的な体制に関する研究:対象疾患自然歴、臨床的特徴、および検査施設基準等について検討した。  (B)タンデムマス診断精度向上・維持、対象疾患設定に関する研究:日本人におけるタンデムマスによる疾患発見頻度、診断指標の精度向上、検査技術者の技術向上の在り方について検討した。  (C)効果的な診療ネットワークの整備に関する研究:確定診断、診療支援を提供できる施設のマップを作った。  (D)患者家族のQOL向上に関する研究:患者家族との交流等を通じて、実生活における問題を検討した。  (E)新技術を応用した有機酸血症治療法の開発:ナノテクノロジーによるピロピオン酸血症の遺伝子治療を実験動物に試みた。  (F)検査体制、精度管理体制の質的向上に関する研究:タンデムマスデータの共有化できるソフト、バーコード付き血液ろ紙について検討した。  (G)マススクリーニング事業の費用対効果の研究:タンデムマス法導入の費用対効果を解析し、諸外国の文献と比較した。  (H)産科医療機関との連携向上に関する研究:全国産婦人科医会を対象にタンデムマス導入に関する課題を調査した。
結果と考察:
 (A)臨床効果および効率的な体制に関する研究:対象疾患の中には新生児発症型の最重症型があり新生児MSの効果に限界があること、また発症後に診断された患者の予後は一般に良くないこと、「発症前診断(新生児MS)」が重要であること、日本人のMCAD欠損症には欧米人とは異なる遺伝子コモン変異があること等がわかった。さらに効率的体制を作るため、検査施設基準、検査実施基準について提言した。  (B)タンデムマス診断精度向上・維持、対象疾患設定に関する研究:日本人におけるタンデムマスによる疾患発見頻度は約9千人に1人であった。欧米に比べ低い。もっとも多く見つかる疾患はプロピオン酸血症、ついでフェニルケトン尿症、メチルマロン酸血症、MCAD欠損症などであった。また2次対象疾患に分類されているCPT2欠損症の精度の高い診断指標を見出した。  (C)効果的な診療ネットワークの整備に関する研究:確定診断のための特殊検査の提供、診療支援サービスのできる施設を調査した。これらの情報をもとに、中央にコーディネート機関が機能する安定した体制が望まれる。  (D)患者家族のQOL向上に関する研究:成人後の医療費の支援が必要であること、安定した治療用特殊ミルクの提供体制の確立が急務である。  (E)新技術を応用した有機酸血症治療法の開発:ナノテクノロジーによるピロピオン酸血症の遺伝子治療をノックアウトマウスに投与したところ、明らかに生存期間が延び、実用化が期待される。  (F)検査体制、精度管理体制の質的向上に関する研究:タンデムマスデータの精度管理項目22種を想定し、Microsoft EXCEL 2003形式を採用して会員限定の運用が可能な無料サービスFreeMLを整備した。またバーコード付きろ血液ろ紙を試作し、データ処理システムソフトの改良を進めた。  (G)マススクリーニング事業の費用対効果の研究:タンデムマス法導入の費用対効果は優れていることが明らかになった。しかし将来は対象疾患の選定、検査機関の集約化などによる効率化も図る必要がある。 (H)産科医療機関との連携向上に関する研究:全国産婦人科医会を対象に自治体の状況を調査したところ、対象疾患数、検査結果の伝達法、患者のフォローアップなどの面で地域によってばらつきのあることがわかった。産科側からも意識向上のための努力が望まれる。
結論:
 タンデムマスが導入されると、従来の対象疾患数6疾患から、少なくとも19疾患以上の疾患がスクリーニングされるようになる。従来6疾患対象では年間出生110万人に対して年間約500〜600症例が発見されていたが、タンデムマス導入によって新たに約100名以上の患者が発見されるようになり、その多くが障害から救われると予想される。  タンデムマス導入を機に新生児MS体制を効率化する機会である。もっとも急ぐべきことは、1)陽性者が発生した時のコーディネート体制の構築、2)患者登録、長期追跡体制の構築である。対象疾患はなじみが少ない稀少疾患であり、陽性が発生した時に適切なコンサルタント機能が不可欠である。また患者追跡体制によって、事業評価、患者QOLの向上、新生児MSの社会的意義を明らかにすることによって、予防医学の重要性を社会に向けてアピールすることができる。
公開日 2013年06月12日
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公開日・更新日

公開日 2013年12月18日
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