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文献情報

文献番号 201217007A
報告書区分 総括
研究課題 介護保険の総合的政策評価ベンチマークシステムの開発
課題番号 H22-長寿-指定-008
研究年度 平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関) 近藤 克則(日本福祉大学 健康社会研究センター) 
研究分担者(所属機関) 尾島 俊之(浜松医科大学 医学部)、小坂 健(東北大学大学院 医学研究科)、竹田 徳則(星城大学 リハビリテーション学部)、泉田 信行(国立社会保障・人口問題研究所 社会保障応用分析研究部)、野口 晴子(早稲田大学 政治経済学術院)、藤野 善久(産業医科大学 医学部)、白井 こころ(琉球大学 法文学部)、近藤 尚己(東京大学大学院 医学研究科)、吉井 清子(日本福祉大学 社会福祉学部)、羽田 明(千葉大学大学院 環境医学講座)、等々力 英美(琉球大学大学院 医学研究科)、川島 典子(筑紫女学園大学 短期大学部)、市田 行信(日本福祉大学 健康社会研究センター)、冷水 豊(日本福祉大学 地域ケア研究推進センター)、平野 隆之(日本福祉大学 地域ケア研究推進センター)、長澤 紀美子(高知県立大学 社会福祉学部)、斉藤 雅茂(日本福祉大学 社会福祉学部)、山本 龍生(神奈川歯科大学 社会歯学講座)、三澤 仁平(立教大学 社会学部)、山田 実(京都大学大学院 医学研究科)、鈴木 佳代(日本福祉大学 健康社会研究センター)、鈴木 孝太(山梨大学大学院 医学工学総合研究部)、菖蒲川 由郷(新潟大学大学院 医歯学総合研究科)、山谷 麻由美(長崎県立大学 看護栄養学部)、中川 雅貴(国立社会保障・人口問題研究所 国際関係部)、相田 潤(東北大学 歯学研究科)、伊藤 美智予(日本福祉大学 健康社会研究センター) 
研究区分 厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
開始年度 平成22(2010)年度
終了予定年度 平成24(2012)年度
研究費 23,951,000円
研究者交替、所属機関変更  

研究報告書(概要版)

概要版 研究目的:
本研究の目的は,効果的・効率的・公正な介護政策のための総合的なベンチマーク・システムを開発し,それによって,1)「見える化」による介護予防事業・ケアの課題設定,2)効果的な介護予防事業計画・プログラム・ケアのためのエビデンスづくり,3)介護予防事業の効果やケアの質・効率・公正の検証など,マネジメント支援ができる基盤を整備することである.
研究方法:
2つのワーキンググループ(WG):1)市町村における介護予防(介護予防WG),2)特別養護老人ホーム(特養)におけるケアの質(ケアの質WG)で研究を進めた. 1)介護予防WG  2010〜11年度JAGESプロジェクト調査で,全国12道県31自治体の65歳以上の高齢者169,210人に郵送自記式調査票を郵送配布し回収した112,123票(回答率66.3%)データの横断分析を行った.保険者や校区を分析単位とした地域相関分析や,個人レベルの要因を調整後にも地域レベルの関連が残るのかをマルチレベル分析の手法を用いて分析した.また既存の2003年からの縦断データを用いたコホート研究も行った.それらの結果をもとに選択したベンチマーク指標(要介護リスク割合など)を自治体間で比較した結果をインターネット上で閲覧できる「介護予防政策サポートサイト」を設計した. 2)ケアの質WG 訪問調査員3人による特別養護老人ホームへの4時間の訪問調査を行った.その評価結果を基準とし,2時点の要介護認定データから作成した一年後要介護度維持改善率の基準関連妥当性をblind studyで検証した.
結果と考察:
1)介護予防WG 横断分析では,要介護リスクと関連する地域診断指標としての妥当性を検証した結果,ベンチマーク指標としては,社会的サポート(手段的サポート)が豊かな保険者ほど要介護認定率は低く,趣味の会やスポーツ組織など地域組織への参加割合が高い校区や自治体ほど,認知症リスク者割合や高齢者うつ得点Geriatric Depression Scale(GDS)平均点が低いことなどを明らかにした. 既存のコホートデータを用いた縦断分析では,要介護リスクや関連要因を明らかにした.例えば,社会的に孤立した人で要介護リスクは大きくなること,自分の歯の数が少なく義歯を使っていない者で3年後の転倒が多いこと,運動をしない人で要介護認定リスク(ハザード比:HR)は大きいが,一人で運動する人よりもスポーツ組織に参加して運動している人のHRは有意に小さいことなどを報告した. 上記のような検討を元に選択したベンチマーク指標をインターネット上で閲覧できる「介護予防Webアトラス」を改良して「介護予防政策サポートサイト」(http://www.yobou_bm.umin.jp/)を開設した.その結果,a)多保険者・生活圏域間比較による課題把握に有用で,b)プロセスやアウトカムに関連する要因の分析も可能だが,保険者の担当者だけでは時間的にも厳しいこと,c)比較対照を用いた効果の検証などを進められるが,評価対象となる介護予防プログラムの記述的データが不足していることなどの課題が明らかとなった. 2)ケアの質WG blind studyによる特養への訪問調査によって得られたケアの質評価結果を基準とし,要介護度維持改善率などの指標群の基準関連妥当性を検証した結果,訪問調査によるケアの質評価得点とA)一年後も入所していた者だけから求めた要介護度維持改善率との間の相関係数は0.53で,B)1年後特別養護老人ホームから退所していた者[その大半は入院か死亡と推定]を分母に含め要介護度悪化と見なした場合の要介護度維持改善率との間では,相関係数0.85と高い相関を認めた.
結論:
本研究によって,介護予防政策とケアの質評価に有用なベンチマーク・システムのプロトタイプを開発できた.介護予防WGでは,ベンチマークの枠組みと指標群を開発すると共に,データの入手可能性や指標の妥当性などを検証できた.フィードバックのためのWebsiteを開発し,保険者担当者から積極的な評価を得た.ケアの質WGでは,要介護認定データから要介護維持改善率などの指標を開発し,blind studyによる特養の現地調査でのケアの質評価結果との間に高い基準関連妥当性が示された. 一方で,システムの開発・改良・活用のためには,1)データ入手段階,2)指標づくり,3)妥当性の検証,4)表示の仕方,5)活用される条件づくりなどの課題が残されている.引き続きこのような研究に基づいて指標群とシステムの改訂を重ねていけば,根拠に基づく政策やケアプラン立案,現状,プロセス,アウトカムの「見える化」に資する「介護保険の総合的政策評価ベンチマーク・システムの開発」は実現可能であることが明らかとなった.
公開日 2013年07月19日
研究報告書
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公開日・更新日

公開日 2013年12月18日
更新日 -

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