トキシコゲノミクス手法を用いた医薬品安全性評価予測システムの構築とその基盤に関する研究

文献情報

文献番号
200400216A
報告書区分
総括
研究課題名
トキシコゲノミクス手法を用いた医薬品安全性評価予測システムの構築とその基盤に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
長尾 拓(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 漆谷 徹郎(国立医薬品食品衛生研究所医薬基盤研究施設)
  • 土井 邦雄(東京大学大学院農学生命科学研究科)
  • 金井 好克(杏林大学医学部)
  • 若林 敬二(国立がんセンター研究所・がん予防基礎研究プロジェクト)
  • 菅野 純(国立医薬品食品衛生研究所毒性部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【トキシコゲノミクス分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
640,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、網羅的遺伝子発現プロファイリングを基にした化学物質安全性データベースを作成し、創薬過程における安全性の早期予測システムを構築することにより、医薬品の予期せぬ副作用発現率の低下,創薬の効率化を企図する。
研究方法
プロジェクト本体は国衛研を核とした「産学官連携」であり主任研究者(長尾)・分担研究者(漆谷)を主体とする研究班と参加企業との協議の上で進められる。約150の化学物質を対象にラット肝・腎における遺伝子発現プロファイリングと毒性学データなどからなる統合データベースを構築し,解析・予測システムのソフトウエア開発を行う.予測精度向上のため,分担研究班(土井:肝毒性,金井:腎毒性,若林:大腸がん予測,菅野:恒常性維持機構)をおく.
結果と考察
本年度は着実にデータの蓄積がなされた。in vivoの実験に着手した化合物は約100(データ取得完了約80)である。ラット初代肝細胞が約60化合物,ヒト初代肝細胞は約50化合物が完了した.前年度に完成した統合データベースv.1.5を2.0にグレードアップし,データ解析ツール,毒性予測システムのプロトタイプの試用を開始した.分担研究として,土井は,実験的糖尿病による肝遺伝子発現変化を対象に,本プロジェクトの戦略であるin vitroモデルを用いた種差のブリッジングに一つの解答をあたえ,DNA障害物質の機序を解析し,プロジェクトのデータを補完した.金井は,5種の新規トランスポーターを同定し,アミノ酸トランスポーター阻害物質による増殖抑制効果の細胞内機序の一端を明かとし,プロジェクトにおける腎臓の解析に寄与をした.若林は、3種類のHCA類について解析し,遺伝子発現プロファイルによる発がん性予測に挑戦している.この戦略は,遺伝子発現プロファイルから臓器毒性を予測しようとするプロジェクトの目標のモデルケースとなる.菅野は,Ahr作動性化学物質の解析,エピジェネティック制御機構障害の神経幹細胞をモデルにした研究などを通じて毒性予測システム精度向上のための基盤を築いた.
結論
プロジェクト本体としては、「5年間150物質」目標達成に向けほぼスケジュール通りの進捗が得られている。また、安全性評価予測システムの質的向上のために設置した基盤的分担研究もそれぞれの成果を得ている。今後計画に従って研究を進め、利用価値の高いデータベースと予測システムの構築を達成したい。

公開日・更新日

公開日
2005-04-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-03
更新日
-