不妊治療を受けている患者・家族に対する看護支援ガイドラインの作成とネットワークの構築に関する研究

文献情報

文献番号
200000331A
報告書区分
総括
研究課題名
不妊治療を受けている患者・家族に対する看護支援ガイドラインの作成とネットワークの構築に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
森 明子(聖路加看護大学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 子ども家庭総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成13(2001)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
看護者が行なう患者支援の強化につなげるために、不妊看護に関するガイドラインを作成すること、および不妊や不妊看護について情報や意見を交換・発信するネットワークを構築し、評価することである。2000年度は、ガイドラインの作成とネットワークの評価を行う。
研究方法
まず、先行研究およびヒアリングを行ない、看護の現状把握と問題を分析する(1998年度)。ガイドライン作成については、その結果をもとに、ガイドラインを用いる対象を明確化し、同時にガイドライン開発過程の検討を行なう(1999年度)。そして、ガイドライン作成作業を行なう(2000年度)。ネットワーク構築については、同様に分析した問題の解決がはかられるような目的・形態をもったネットワークを明らかにし、立ち上げる(1999年度)。そして、その成果を評価する(2000年度)。
結果と考察
1.ガイドラインの開発:エビデンスに則ったガイドライン開発の5段階にそって、「不妊患者支援のための看護ガイドライン‐不妊の検査と治療のプロセス‐」を作成した。不妊の検査と治療を求めている患者を適用とするガイドラインとし、不妊治療機関において看護実践に携わる看護者をガイドラインの活用対象とした。ガイドライン作成のメンバーは看護職とし、臨床実践のエキスパートを含めた。データベースは、EBN、CINAHL、最新看護索引、国立国会図書館の雑誌記事索引の4つを使用し、計861文献中、本ガイドラインに関連し、重要と思われる119文献を読み、19文献を使用した。前文と本文からなり、本文は「初回受診時の看護」「不妊の検査と看護」「不妊の治療と看護」の3つの章で構成した。各章ごとに、具体的な実践の指標となり、裏づける文献とそのエビデンスの強さを付記した推奨と解説文をつけた。結果的に5名の有識者による外部レビューを受け、その評価をもとに加筆修正し、洗練した。今後は、ガイドラインの活用性の検証、看護ガイドラインが患者に成果をもたらしたかどうかの測定、定期的な見直しと改訂が課題である。
2.ネットワークの評価:「日本不妊看護ネットワーク;Japan Infertility Nursing Network(J.I.N.N.)」の1年経過段階での評価を行った。2001年3月現在、会員数は約180名となった。つながること(Linking)、問題解決(Problem-solving)、エンパワーメント(Empowerment)、社会へのアピールの4つのネットワークの目的(ねらい)にそって、世話人へのアンケートおよび会員による記述資料をもとに評価した。その結果、人間関係が広がり、看護者間の連携がもてたという点においては世話人・会員とも、おおむね達成されていた。しかし、これらは受身的な評価であり、他のメンバーの問題解決に役立ったり、自信を持って何かをやれそうといった能動的な評価には至っていなかった。今後は、ネットワークの拠点を地方にも広げること、ホームページの作成により、質の高い有用な情報を提供し、会員および患者のサポートを行う、看護実践に役立つ学術的な研究への関与を行うことなどが課題である。
結論
エビデンスに則った「不妊患者支援のための看護ガイドライン‐不妊の検査と治療のプロセス‐」を作成した。不妊看護のネットワークの発足から1年経過時点での評価を行った。

公開日・更新日

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