固形がん幹細胞を標的とした革新的治療法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201438018A
報告書区分
総括
研究課題名
固形がん幹細胞を標的とした革新的治療法の開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
森 正樹(大阪大学 大学院医学系研究科 )
研究分担者(所属機関)
  • 片岡一則(東京大学 大学院工学系研究科)
  • 西山伸宏(東京工業大学 資源化学研究所)
  • 中内啓光(東京大学医科学研究所)
  • 佐谷秀行(慶應義塾大学医学部先端医科学研究所)
  • 落谷孝広(国立がん研究センター研究所)
  • 山田泰広(京都大学 iPS細胞研究所)
  • 石井秀始( 大阪大学 大学院医学系研究科 癌創薬プロファイリング学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 革新的がん医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
92,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成26年度はこれまでのシーズ開発の成果を踏まえながら最適化を進め、前臨床試験から医師主導治験への基盤を構築する。癌幹細胞マーカーに対する阻害剤のリポジショニング創薬,革新的な核酸医薬品の開発,T-iPS技術による免疫療法,さらには高精度の標的化を実現するための最先端技術によるドラッグデリバリーシステム(DDS)開発において革新技術を新構築する。安全で有効な新医療技術を実現するために、倫理面では行政及び施設内規則を定めるところを順守し、円滑かつ効果的な厚生行政の推進に貢献する。
研究方法
前期(平成23-25年度)に引き続いて、強いリーダシップを発揮して班全体を統轄した。また個々研究として癌リプログラミングを核酸創薬で実現する研究を推進し、前臨床試験、治験まで進めた。マイクロRNAエクソゾームの早期癌への応用、更に癌幹細胞の創薬展開として、DDS最適化、広く癌幹細胞創薬展開での統合的な把握を進めた。倫理手続きおよび法令規則遵守の下に新鮮手術材料を積極的に用いて創薬過程の早期の段階からヒトを対象とした評価系を取り込んだ。
結果と考察
●アンメットニーズの高い難治療消化器癌の革新的な医療の創出リプログラミング(代謝・エピゲノム)の基盤技術と臨床応用を実施し、倫理手続きおよび法令規則遵守の下に新鮮手術材料を積極的に用いて創薬過程の早期の段階からヒトを対象とした評価系を取り組んだ。●固形癌幹細胞の代謝特性に関わるCD44経路等を標的とした高分子ミセル型DDSの開発を実施し、リガンド搭載高分子ミセルの癌幹細胞をはじめとする難治がんモデルに対する薬効メカニズムの解明を進め、薬剤の副作用の抑制と治療効果の最適化を行った。●iPS細胞技術を利用した難治性消化器癌のリプログラミング免疫再生療法の開発を実施し、キラーT細胞クローンから抗原エピトープが判っている代表的なものを選び、それぞれからT-iPS細胞を樹立して、その抗原特異性をin vitroで確認し、抗腫瘍活性を明らかにした。●難治性消化器癌幹細胞のCD44v経路等を標的とした治療戦略の開発を実施し、癌幹細胞におけるグルタチオン代謝状態をメタボローム解析によって詳細に解析して、より効果的かつ選択的に癌幹細胞を破壊することを検討した。また、がん幹細胞に対する効果を明らかにした。●癌幹細胞のリプログラミング経路を標的としたmicroRNA制御とエクソソームDDSによる治療応用を実施し、最も臨床で成功する確率の高いナノミセルや、最新のエクソソームDDS等や動物モデルでの有効性評価と安全性評価を研究開発して前臨床試験の基盤を構築した。●細胞初期化技術を用いたリプログラミング分化転換および分化誘導方法の開発と、その癌治療への応用を実施し、この技術を膵癌肺癌など難治性がんに応用することで、癌細胞の運命制御を試みて、難治性癌細胞の運命制御の研究を行った。●難治性消化器癌幹細胞のリプログラミング(代謝・エピゲノム)に関わる経路を標的とした安全で有効な新規治療法の開発と臨床応用を実施し、将来の創薬展開を見据えてマイクロRNAに焦点を当てて、下流を探索、生物学的な重要性を決定するためにモデル動物を用いて機能を検討した。すべて計画通り順調に実施した。
アンメットメディカルニーズが高い難治性の消化器(膵癌、転移性大腸癌を含む)を対象にして、癌幹細胞を標的とした革新的な治療技術を新構築した。政府の中長期的視野に立った戦略に基づくアクション計画に沿って、わが国を代表する研究者の多施設共同研究で基盤整備を実施した。平成26年度から3年間の計画では、既に平成23年度から開始された3年間の成果に立脚した研究の継続により新たな知見を創出し医療応用展開した。
結論
政府が策定した中長期的視野に立った戦略に基づくアクション計画に沿って、平成23年度から開始された10年計画の前期(平成23-25年度)から継続的に新たな知見を創出・医療応用展開し、アンメットメディカルニーズが高い難治性の消化器(膵癌、転移性大腸癌を含む)を対象にした癌幹細胞を標的とした革新的な治療法を開発した。

公開日・更新日

公開日
2015-09-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201438018C

収支報告書

文献番号
201438018Z