がれきの処理作業など短期間作業にも対応可能なアスベストの簡易測定方法の開発

文献情報

文献番号
201326009A
報告書区分
総括
研究課題名
がれきの処理作業など短期間作業にも対応可能なアスベストの簡易測定方法の開発
課題番号
H24-労働-一般-005
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 治彦(公益社団法人 日本作業環境測定協会 精度管理センター)
研究分担者(所属機関)
  • 小西 淑人(株式会社 エフアンドエーテクノロジー研究所)
  • 山崎 淳司(早稲田大学 創造理工学部 )
  • 薮田 十司(北里大学 医療衛生学部)
  • 寺田 和申(公益社団法人 日本作業環境測定協会 精度管理センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
5,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
解体現場等や被災地におけるがれき処理作業に伴い、二次的に飛散したアスベスト繊維を吸引する危険性があり、がれき処理労働者の健康影響を考慮すれば、作業時のアスベスト濃度を正確に把握する必要がある。作業時の石綿濃度測定用機器としてリアルタイムファイバーモニター(以下「リアルタイムモニター」という)があるが、がれき処理で飛散する可能性がある繊維状粒子の種類には、当該現場で使用されていたアスベストとアスベスト以外の繊維状粒子として「①有機質繊維(植物繊維や保護衣を着たり脱いだりした時の作業服等の衣服から飛散する繊維)と「②無機質繊維(人造鉱物繊維:ロックウール等)」が考えられ両者を計測することとなり、計測値は正確なアスベスト繊維数濃を反映しているとは言いがたい。そこでリアルタイムモニターの検出器に取り込まれる前に①及び②の繊維状粒子を除去する前処理を行い、これらを除去した状態でリアルタイムモニター内に取込むことが可能になれば、リアルタイムモニターの計測値はアスベスト繊維の値とほぼ同じになる。
そこで、リアルタイムモニターで計測値が「アスベスト繊維」にほぼ等しくするために、アスベスト繊維以外の「①有機質繊維」と「②無機質繊維」を除去する手法の検討を行った。平成24年度に「①有機質繊維」を除去する方法を検討したため、平成25年度は「②無機質繊維」を除去する手法の検討を行った。

研究方法
今年度は「②無機質繊維」を除去するための検討として、無機質繊維除去処理装置の開発を中心に検討を行った。具体的には装置を「ギ酸ミスト混合部分」と「移動空気相の導入部分」並びに「ギ酸ミスト発生部分」の3カ所に大きく分けて数種類設計し性能試験を行い、最も効率の良かった各パーツを組み合わせて処理装置を完成させた。「ギ酸ミスト混合部分」は、繊維を含む空気移動相の排気口を上部に設計した円形の筒状の構造とした。「移動空気相の導入部分」は取込み口を1箇所とした。ギ酸ミスト混合部分内は、ギ酸ミストと接触する時間を長くすることで溶解・変質等を起こす割合が高くなることから、ギ酸混合部分でうず流(渦巻き状の流れ)状の空気の流れを下方から上方へ作るように導入部分のノズルは斜め上に角度を付けた設計とした。「ギ酸ミスト発生部分」は市販の超音波式ネブライザーの発生原理と同じ方法で、水槽に発振子が埋め込み、そこに水を入れた構造とした。まず振動子から振動を水に伝えた後、ギ酸槽内のギ酸溶液に伝える方法でギ酸を霧化することとした。この3つパーツを組合わせ、「無機繊維除去処理装置」を完成させた。次にこの装置を使用して、「ロックウール」と「クリソタイル」を別々に発生させて、それぞれの繊維の最適条件を求めた。
結果と考察
完成した「無機繊維除去処理装置」を使用して「ロックウール」と「クリソタイル」を別々に発生させ、「ロックウール」に関しては最も効率よく除去できる条件を検討・確認し、「クリソタイル」に関してはギ酸の影響を受けない条件を検討・確認した。その結果、電圧を97Vにした条件でギ酸ミストを発生させることで、「ロックウール」を約90%を除去することができ、「クリソタイル」に関しては無機繊維除去処理装置の影響を受けずに、97%を残存することができる結果が得られた。
結論
今回開発検討した「無機繊維除去処理装置」を使用することで、無機質繊維(ロックウール)に関しては、ギ酸ミストを使用することで約90%程度を除去することが可能となった。この結果から、アスベスト含有建築材料が含まれる解体現場の中で「アスベスト」と「ロックウール」が混在する現場においては、従来のリアルタイムモニタールでは「アスベスト」と「ロックウール」の繊維の合算を表示していたが、「無機繊維除去処理装置」をリアルタイムモニターの試料空気導入口の前に接続することにより、「アスベスト」濃度に近似した値が得られるものと考える。

公開日・更新日

公開日
2015-06-22
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201326009Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,000,000円
(2)補助金確定額
7,343,000円
差引額 [(1)-(2)]
657,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,935,234円
人件費・謝金 231,000円
旅費 251,080円
その他 2,926,171円
間接経費 0円
合計 7,343,485円

備考

備考
3年計画の初年度のため、研究課題をどのように進めるかについて重点を置いたため、想定していたよりも支出が少なくなった。

公開日・更新日

公開日
2015-06-22
更新日
-