文献情報
文献番号
201232011A
報告書区分
総括
研究課題名
地理情報システム(GIS)を用いた在宅医療における有床診療所の役割に関する研究
課題番号
H24-医療-一般-004
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
山脇 正永(京都府立医科大学 大学院医学研究科総合医療・医学教育学)
研究分担者(所属機関)
- 河原 和夫(東京医科歯科大学大学院 保健医療公共政策学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
2,277,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、更なる高齢社会に対応できる在宅医療システムを構築するために、特に有床診療所について都道府県別、医療圏別のみならず災害時に重要となる第二次生活圏レベルで調査を実施し、①有床診療所の配置状況、地域的特性からみた医療提供状況、②有床診療所を含めた在宅医療システムの現状、③有床診療所とCare Need Index(CNI)を含めた社会的インフラ指標との連関について地理空間情報システム(GIS)を用い比較分析しようというものである。
本研究の目標は在宅医療の実情を具体的に把握し問題点を同定することにより、その改善方策を提示するものである。その研究成果は、医療資源の適正配分や在宅医療の連携体制の構築・発展などに寄与し、在宅医療の推進に資するとともに医療資源の適正配分にも役立ち、医療の質および患者満足度の向上にも貢献する。さらに学術的な成果としては、正確な地理情報システムと医療情報のマッチングによる新たな医療分析手法の開発に資するものである。
本研究の目標は在宅医療の実情を具体的に把握し問題点を同定することにより、その改善方策を提示するものである。その研究成果は、医療資源の適正配分や在宅医療の連携体制の構築・発展などに寄与し、在宅医療の推進に資するとともに医療資源の適正配分にも役立ち、医療の質および患者満足度の向上にも貢献する。さらに学術的な成果としては、正確な地理情報システムと医療情報のマッチングによる新たな医療分析手法の開発に資するものである。
研究方法
研究方法は、在宅医療施設の各種情報について地理情報システム(GIS)を用い、在宅医療施設の配置状況及び地域的偏りを検討した。併せて、在宅医療施設に対するアンケート等を実施し、診療ネットワーク、医療資源、医療内容の実態を把握し、GISによる分析結果との検証を行い、効果的な地域連携体制の構築手法を検討した。本研究は、更なる高齢社会に対応できる在宅医療システムを構築するために、特に有床診療所について都道府県別、医療圏別のみならず災害時に重要となる第二次生活圏レベルで調査を実施し、①有床診療所の配置状況、地域的特性からみた医療提供状況、②有床診療所を含めた在宅医療システムの現状、③有床診療所とCare Need Index(CNI)を含めた社会的インフラ指標との連関、について地理空間情報システム(GIS)を用い比較分析しようというものである。
1年目は在宅医療施設についてのGIS分析やアンケート調査等を実施し、在宅医療に関する実態を浮き彫りとした。
1年目は在宅医療施設についてのGIS分析やアンケート調査等を実施し、在宅医療に関する実態を浮き彫りとした。
結果と考察
1)モデル地域における有床診療所の地理的分析とその機能についての検討
有床診療所と人口密度との関連では、多くの診療所が人口密集地帯にあり交通の便の良い都市部に
多く存在することが明らかになった。一方で、このようなクラスターを形成していない診療所も一部
存在することが明らかになった。病院との関連分布をみると、①人口集中地域で、病院と有床診療所
が多く存在する地域、②人口は少ないが病院と有床診療所が1~数施設存在する地域、③病院のみが
存在する地域、④有床診療所のみが存在する地域、⑤両者存在しない地域、の5類型に分離されるこ
とが明らかになった。
2)都市型、都市近郊型、医療過疎型医療圏における有床診療所の医療提供体制に関する検討
京都府全体の有床診療所の分布は、やはり都市部に多く存在するが、医療過疎地域における人口
密集地域にも存在することが認められた。病院との分布を比較すると、都市部では比較的病院近辺に
存在するが、医療過疎地域、都市近郊型地域においてはお互いに独立して存在する分布を呈した。
有床診療所と人口密度との関連では、多くの診療所が人口密集地帯にあり交通の便の良い都市部に
多く存在することが明らかになった。一方で、このようなクラスターを形成していない診療所も一部
存在することが明らかになった。病院との関連分布をみると、①人口集中地域で、病院と有床診療所
が多く存在する地域、②人口は少ないが病院と有床診療所が1~数施設存在する地域、③病院のみが
存在する地域、④有床診療所のみが存在する地域、⑤両者存在しない地域、の5類型に分離されるこ
とが明らかになった。
2)都市型、都市近郊型、医療過疎型医療圏における有床診療所の医療提供体制に関する検討
京都府全体の有床診療所の分布は、やはり都市部に多く存在するが、医療過疎地域における人口
密集地域にも存在することが認められた。病院との分布を比較すると、都市部では比較的病院近辺に
存在するが、医療過疎地域、都市近郊型地域においてはお互いに独立して存在する分布を呈した。
結論
本研究により医療消費者である住民にわかりやすい根拠に基づいた行政を展開するための手法を提
供することができるとともに、今後の在宅医療政策の推進のための科学的方向性を提示するものであ
る。特に在宅医療を念頭に置いた医療資源の再配分や医療連携の在り方を正確に反映した、いわば現
実に即した在宅医療提供体制の構築に果たす役割は大きいことが明らかになった。
今後は、有床診療所に対するアンケート等を実施し、地域に密着した医療の推進にあたっての診療ネットワーク、医療資源、医療内容のあり方についての評価手法の開発を行い、地域連携体制の構
築への提言を行うとともに研究の総括を実施し、病院-有床診療-在宅医療のあるべきシステムについて
パイロット研究へと発展させる予定である。
供することができるとともに、今後の在宅医療政策の推進のための科学的方向性を提示するものであ
る。特に在宅医療を念頭に置いた医療資源の再配分や医療連携の在り方を正確に反映した、いわば現
実に即した在宅医療提供体制の構築に果たす役割は大きいことが明らかになった。
今後は、有床診療所に対するアンケート等を実施し、地域に密着した医療の推進にあたっての診療ネットワーク、医療資源、医療内容のあり方についての評価手法の開発を行い、地域連携体制の構
築への提言を行うとともに研究の総括を実施し、病院-有床診療-在宅医療のあるべきシステムについて
パイロット研究へと発展させる予定である。
公開日・更新日
公開日
2013-08-27
更新日
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