創薬と新規治療法開発に資するヒト肝細胞キメラマウスを用いた肝炎ウイルス制御に関する研究

文献情報

文献番号
201227017A
報告書区分
総括
研究課題名
創薬と新規治療法開発に資するヒト肝細胞キメラマウスを用いた肝炎ウイルス制御に関する研究
課題番号
H23-肝炎-一般-001
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
茶山 一彰(広島大学大学院 医歯薬保健学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 吉里勝利((株)フェニックスバイオ)
  • 金子周一(金沢大学医薬保健研究域医学系)
  • 土方誠(京都大学ウイルス研究所)
  • 高倉喜信(京都大学大学院)
  • 前川伸哉(山梨大学大学院)
  • 松浦善治(大阪大学微生物病研究所)
  • 大段秀樹(広島大学大学院)
  • 脇田隆字(国立感染症研究所)
  • 今村道雄(広島大学病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
66,690,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は,このヒト肝細胞キメラマウスを用いて,ウイルス性肝炎の根治と病状緩和に有用な治療法を開発することを目的とし,(1) 創薬のシーズの探索,(2) 開発された薬剤の応用,(3) 肝炎モデルの創生,の3点を中心に行う.
研究方法
(1) 創薬のシーズの探索に関する研究では,これまでに行ってきた研究である新規候補となる薬剤の抗ウイルス効果の検証あるいは肝炎ウイルスの感染によるtranscriptomeの変化を網羅的に解析し,創薬のターゲットとなり得る分子の同定を行う.これらの発現解析には最近可能となった次世代シーケンサーによる網羅的発現解析を応用する. (2) 開発された薬剤の応用に関する研究では,HCV培養系およびキメラマウスを使用して,野生型あるいは薬剤耐性型HCVクローンを感染させ,各種DAA製剤に対する耐性ウイルスを作製し,それぞれに対してどのような薬剤が有効か,また,多剤併用でウイルスの完全な排除が可能かどうかについて検討し,IFNを使用しない治療法の確立を目指す.また有効なdrug delivery技術の開発も試みる.さらに生体肝移植後のHCV再感染のメカニズムの解明および治療法開発を試みる.(3) 肝炎モデルの創生に関する研究では,キメラマウスにヒトリンパ球が生着できる条件について検討を加える.さらにuPA/SCIDマウス以外の肝炎モデル動物の構築も試みる.
結果と考察
(1) 創薬のシーズの探索.プロスタグランジンI受容体アゴニストのC型肝炎ウイルス(HCV)感染阻害効果が見いだされた.また次世代シークエンサーシステムを用いて,HCVのコア領域,HBVのPreS/S領域に注目してdeep sequence解析を行い,これらのウイルスが単一の宿主内で顕著なquasispeciesを形成すること,さらにこのquasispeciesが病態の進行や肝発癌と密接に関連することを明らかにした.
(2)開発された薬剤の応用.新規抗HCV療法として,NS5A阻害剤およびProtease阻害剤あるいはNS5B阻害剤を併用しIFN製剤を使用しない経口剤のみによるウイルス排除法を構築しHCV genotype別の治療効果を検討した.さらにHCV薬耐性変異に対する治療法開発のため,耐性HCVが増殖する培養系およびキメラマウスを構築し,抗HCV薬の治療効果および耐性株発現を検討した.
(3)肝炎モデルの創生.HCV感染ヒト肝細胞キメラマウスにNK細胞を投与することにより肝炎モデルマウスの作製を試みている.またマウスよりいくつかの利点を持つラットの肝臓をヒト化する技術の開発を行い,ラット肝芽細胞に特異的に障害を与えることが可能なトランスジェニックラットのファンダーを作製した.
結論
ヒト肝細胞キメラマウスによる肝炎ウイルス感染モデルを用いて,創薬のシーズの探索,開発された薬剤の応用,肝炎モデルの創生,の検討が可能であった.

公開日・更新日

公開日
2015-06-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2014-03-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201227017Z