宿主ゲノム多様性に対応する抗原発現ベクターを用いた治療エイズワクチン開発

文献情報

文献番号
201009017A
報告書区分
総括
研究課題名
宿主ゲノム多様性に対応する抗原発現ベクターを用いた治療エイズワクチン開発
課題番号
H22-政策創薬・一般-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
俣野 哲朗(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 木村 彰方(東京医科歯科大学 難治疾患研究所)
  • 朱 亜峰(ディナベック株式会社 ディナベック研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
28,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
抗HIV薬多剤併用療法(HAART)の導入によりHIV感染者においてウイルス複製を制御することが可能となったが、エイズ発症阻止には長期間の服薬継続が必要となるため、抗HIV薬による副作用や薬剤耐性株出現等が問題となる。したがって、HIV複製の抑制に重要な細胞傷害性Tリンパ球(CTL)をHAART中に誘導する治療エイズワクチンの開発は、日本を含む先進国でのHIV感染者治療の長期有効性を確立するための重要戦略である。我々はこれまで、優れたCTL誘導能を有するセンダイウイルス(SeV)ベクターを開発し、SeVベクターを用いた予防エイズワクチン国際共同臨床試験計画を進展中である。本研究は、このSeVベクターを治療エイズワクチンのデリバリーシステムとして応用するもので、エイズモデルにおける解析により、有効なCTL誘導に結びつく抗原選択のための論理基盤を確立することを目的とする。抗原発現SeVベクターを用いた治療ワクチン効果について、その抗原特異的CTL反応が元来ドミナントである個体とそうでない個体にて検証することとした。
研究方法
1.治療ワクチン評価系の確認のため、エイズモデルでのHAART導入実験を行った。2.治療ワクチン効果に関連するMHC-I等の宿主遺伝子多型の解析を行った。3.SIV各抗原発現SeVベクターを作製した。4.治療ワクチン評価実験に用いる個体群選択とSIV感染におけるCTL反応の解析を行った。
結果と考察
平成22年度は、1.SIV感染個体において3ヶ月間のHAART を行い血漿中ウイルス量の低下およびCTL反応の変化を確認した。2.宿主遺伝子多型解析を進展させ、新規MHC-Iアリルを同定した。3.SIV Gag発現SeVベクターに加え、Vif、Nef、RT、INを各々発現するSeVベクターを作製した。4.治療ワクチン評価実験にMHC-IハプロタイプE共有群、W共有群およびS共有群を使用することとし、SIV感染で、E共有群ではNef・Env抗原特異的CTLが優位に誘導され、W・S共有群ではGag・Vif抗原特異的CTLが優位に誘導されることを確認した。
結論
これらの結果をもとに、平成23年度には、HAART中のSeVベクター治療ワクチンによりGag・Vif特異的CTL誘導を行い、その効果をE共有群とW・S共有群で比較検討することが可能となった。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201009017Z