職域における新型インフルエンザ対策の定着促進に関する研究

文献情報

文献番号
200938015A
報告書区分
総括
研究課題名
職域における新型インフルエンザ対策の定着促進に関する研究
課題番号
H21-労働・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 謙(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 今井 鉄平(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室)
  • 東 敏昭(産業医科大学 産業生態科学研究所 作業病態学研究室)
  • 森 晃爾(産業医科大学 産業医実務研修センター)
  • 寶珠山 務(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室)
  • 上原 正道(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室)
  • 和田 耕治(北里大学 医学部衛生学公衆衛生学)
  • 森兼 啓太(山形大学 医学部附属病院検査部)
  • Vanya Delgermaa(ヴァンヤ デルジェルマ)(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新型インフルエンザ(A/H1N1)の世界的流行に際して、流行前から流行後の企業分野の対策を系統的に評価し、特に、流行前におけるガイドラインに基づく対策の準備状況、および、新型インフルエンザ(A/H1N1)流行への対応を通じて生じた課題を明らかにすることを目的に、企業の新型インフルエンザ対策担当者を対象とした調査を実施した。また、企業対策の従業員への浸透度評価を目的に、従業員を対象にした意識調査を実施した。
研究方法
企業対策の調査では、①全国1,010の様々な業種の企業を対象とした自記式質問票調査と②全国18の取り組みの進んだ企業を対象としたインタビュー調査を実施した。対策の従業員への浸透度評価では、③製造業を中心とする7社の全従業員16,627人を対象としたリスク・予防策への意識に関する質問票調査を実施した。また、企業対策を支援するツールとして、④職場の感染リスク評価ワークブックと(②の結果から)⑤Business Continuity Plan(BCP)事例集を作成した。
結果と考察
大企業を中心に、ガイドラインに準拠した新型インフルエンザ対策の実施率は比較的高く、実際の流行に際しては担当者を中心に感染予防を中心とした対策が実施される傾向にあった。しかしながら、①企業対策の質問票調査では、事業継続への備え、感染リスク評価に基づく対策、中小企業や担当者未選任企業における感染予防策の遅れが、②企業のインタビュー調査ではサプライチェーンを含めた対策や危機管理意識の持続が、③従業員のリスク意識調査では感染リスクの考え方や感染リスク回避行動への意識の低さが、それぞれ課題として浮上した。なお、上記課題のうち、事業継続への取り組みに関しては⑤BCP事例集が、感染リスク評価に基づく対策に関しては④ワークブックが、それぞれに対応した内容となっている。
結論
新型インフルエンザ(A/H1N1)の再流行や鳥由来の新たな新型インフルエンザの世界的流行に備え、企業分野全体における事業継続への備えと感染リスク評価に基づく対策の更なる推進が望まれる。また、サプライチェーンを構成する中小企業分野に重点を置いた調査の実施と対策の推進が今後の重要な課題の一つとして浮上した。

公開日・更新日

公開日
2010-06-15
更新日
-